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写真で見る消滅エアライン600 [読書]

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今日は出勤。
正直、こんなに感染者が多く居る中で出勤なんて糞食らえ何だが、働かないと御飯が食べられないというのは2月からの2ヶ月間で十分思ったので、仕方なく行く。
全く行かないと、そのうち労働契約を打ち切られそうだし(苦笑。
で、何をしていたかと言えば、一昔前のOSの設定変更なんぞをしていたりする。
さっさと捨てれば良いのだが、Windows10に切り替えるのに必要な労力が無いので仕方無い。
御陰で、全く他の事が出来ず。

さて、一昨日療養していたときに読んでいた本の紹介。
『チャーリィ古庄が撮った写真で見る消滅エアライン600 激動のエアライン史消えた翼の写真図鑑』
(写真・文:チャーリィ古庄/イカロスムック刊)

そう言えば、この出版社もインプレスの傘下に入ったのだった。

数多の会社経営の中で最も難しいのが航空会社です。
交通系の企業でも、鉄道会社の場合は、線路や駅と言った部分が不動産としてありますから、担保力はあります。
バス会社はバスと言う輸送機械が必要ですが、その初期投資は航空会社よりも大きくは有りません。
フェリー会社については、船という初期投資こそ必要ですが、旅客輸送は付帯的でどちらかと言えば貨物中心なので、過当競争さえ無ければある程度安定した収益を上げられます。

航空会社と言うのは、空港から離発着する為、不動産の初期投資は要りません。
当然、旅客ターミナルやその辺の付帯設備も空港で用意してくれるし、整備工場を建設する土地や貨物を下ろす荷捌き場だって殆どの場合空港が用意した借地の上に建設される訳です。

単に飛行機を飛ばしてさえいれば、それなりの利益率を誇る路線に乗り入れていれば、かなり儲かるであろう…そんな安易な考え方で、航空会社に参入すると返り討ちに遭います。

まず飛行機がバカ高い。
リースで借入れれば、初期投資は然程掛かりませんが、月々のリース料は確実に掛かります。

空港に離発着するだけで手数料が取られ、各空港のもっとも稼働率が高い時間帯に用いる発着枠の手数料は各社争奪戦をするだけあって天井知らずです。
勿論、羽田やセントレア、関空の様に24時間空港だと早朝深夜帯は割引が利きますが、成田の様な運用時間が限られている空港だと、割引が少ない事もあります。

飛行機は運航していないと金食い虫ですから、利益を上げるにはずっと飛ばし続けなければなりません。
出来るだけ地上にいる時間を短くして、飛行時間を多くすれば良いのですが、閑散路線だと余り利益が出ません。

また、ずっと空中に留める訳にはいかない理由もあります。
乗務員のコストも然る事ながら、リース料をケチって他社で使った中古機を飛ばすと、故障が発生して運行に支障を来してしまいます。
最悪の場合は、重大インシデントが発生しかねません。
そうなると、乗客からは見向きもされなくなるし、最悪の場合、運行当局から免許を取り上げられたり、乗り入れ禁止の措置を執られたりします。
そんなことを回避するためにも、一定期間の整備は避けられないので、これにもコストが掛かります。

航空機を運航するには燃料費が掛かります。
シンガポールやニューヨークなどで行われる原油の先物取引が基準となっているため、燃料費は先払いです。

更に昨今のコロナでもそうですが、リーマンショックやアジア通貨危機、3.11テロなどの国際情勢の変化でも乗客が旅行を控えたりして市場が冷え込む、或いは国同士を繋ぐサプライチェーンが途切れたりして、輸送量に波があります。

かくして、当初の崇高な目的は何処へやら、就航に漕ぎ着ける前に雲散霧消する会社だって出て来ますし、折角就航に漕ぎ着けても、ほんの数年で誰にも知られず消え去っていく会社が数多ある訳です。

前書きが長くなりましたが、この本では、そうした死屍累々たる航空会社をその当時の塗装と共に紹介するものです。
勿論、発展的解消というか、買収されたり合併してブランドが無くなった場合とか、商標権だけ買い取って新たに会社を興すとか言うのも良く行われています。
しかし、今に繋がっている会社はほんの一握りで、設立しても保たなかった会社が大部分。

「世界一多くの航空会社に乗ったカメラマン」であるチャーリィ古庄さんが、世界を回って撮りためた飛行機の写真を惜しげも無く公開しています。
良くこんな会社撮ってたなぁと言うのも結構ありますね。
日本に就航していた航空会社でも、既に無い会社を取り上げたり、日本国内でも、つい最近消滅したVanilla Airや破産したAir Asia Japanなんかの機体も取り上げています。

これを見ていると、本当に人間の金儲けへの欲望はつきないなぁと思う訳で。
考えてみるとまだこうして写真に残っているのは良い方で、多くの会社は人知れず消えていっているのだろうなと思ったりもします。

チャーリィ古庄が撮った 写真で見る消滅エアライン600 (イカロス・ムック)

チャーリィ古庄が撮った 写真で見る消滅エアライン600 (イカロス・ムック)

  • 作者: チャーリィ古庄
  • 出版社/メーカー: イカロス出版
  • 発売日: 2021/06/29
  • メディア: ムック



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