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バイちゃ! [読書]

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今日は朝起きてみると見事に雪が積もっており、早々に出勤を諦め在宅へ。
まぁ、元々在宅の予定だったので気にはなりませんが。
そして、ここ数日の手足の不調を考えて、いつもより早く終えて整形外科医へ。

いつもはリハビリを優先するのですが、今日はリハビリをして良いのかどうか判断が付かなかったので、診察を御願いします。
暫くして診察の順番が回ってきたのですが、結論「リハビリを続けましょう」。

痛み止めを服用するという手も無くは無いのですが、結構きつい薬になるので、身体にも良くないということらしい。
温和しく引き下がって、リハビリに行きましたとも。

まぁ、棺桶に片足を突っ込んでいる様な医者なので、かなり知識は偏っていて、今の最新医療技術に懐疑的な医者には違いないのですが、確かにリハビリを続けると言うのも1つの解決策ではあります。
だから、この医者は地域のお年寄りからは好かれているのだろうなと思う。
即効性のある処方に頼ろうという今の世代から見れば、かなり嫌われ要素なのかも知れませんが。

そんなこんなでうちに帰ってきたら、今年に入って何件目?という訃報が入ってました。
鳥山明さんが硬膜下血腫でお亡くなりになったとか。
子供の頃、硬膜下血腫とは言わないまでも、硬膜外に出血した経験のある身からするとこの死因も身近に感じられてしまいます。

最近の人は、ドラクエシリーズとかドラゴンボールの世代が多いのでしょうが、私の場合はやっぱり『Dr.スランプ』ド真ん中世代ですね。
まぁ、私はジャンプよりはサンデー贔屓だったのですが、闘争漫画の多かったジャンプの中では、ギャグ系だった鳥山明の『Dr.スランプ』とか江口寿史の『ストップ!ひばり君!』とかはコミックスを結構買ってましたね。
その後、『ドラゴンボール』になってからは離れましたが。

鳥山作品のメカは、いずれもその懲りようはハンパない感じでしたね。
デフォルメする部分はありつつも、ちゃんと見れば何々だと一目で判る画力のある漫画家さんでした。
自分を書く時は、壊れたゼンマイ仕掛けのブリキのロボット的な自画像で、その姿で良く自作にカメオ出演されていましたっけ。

内輪ネタが出たら作品として終わりなんて言われていた時代ですが、編集とのバトルなんかも時々欄外とかに書いてあって、その編集が「Dr.マシリト」としてキャラクター化され、則巻千兵衛博士のライバルとして作品に出て来ましたっけ。
スーパーマンのギャグバージョンとしてスッパマンなんて出したりして、今だったら、彼方此方から訴訟起こされてもおかしくないのですが、これはあの時代だから出来たのでしょうね。

Dr.マシリトもそうですが、ニコちゃん大王とか敵キャラも憎めないキャラクターだったのは3頭身くらいの大きさだったからかなぁ。
そうそう、頭身と言えば、則巻千兵衛博士が、みどり先生の前では3分間だけ8頭身になると言う術を使ってましたっけ。

今手許に漫画が無くても、これだけ覚えているのは、やっぱり子供の頃に読んだ本の影響力の強さを物語っているように思えます。
国民栄誉賞ものだという声もありますが、政治屋の人気取りに利用される国民栄誉賞は辞退してほしいなぁ。

そう言えば、このニュースは5分以上も報道したのに、自○党の青年局長が辞職したなんてニュースは梅雨ほども報道しませんでしたね、某公共放送の19時のニュースは。

これだけ世界中に愛された漫画家さんなんですから、ここは一つみんなで「バイちゃ!」と微笑んで送り出したいものです。
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アイドル歌会公式歌集 [読書]

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今日はNISAの日と言う事で、投資に金出せと何処からの差し金か知りませんが、国民を博打に駆り立てるのに余念がありません。
個人的には、投資=博打と言うイメージが強いので、余程の事が無い限りそう言うことはしません。
ましてや、ここ最近は株高が先行して、明日にでもバブル相場を超える位の株価になるらしい。
手許に400万円あれば、100万を国債に、100万を現金、100万を投資に、100万を貯金と言う感じでリスク分散をして、何が起きても傷は最小限に出来る様にするのが理想なのですが、そんな資金に余裕のある人ばかりでは無く、そうした人ほどハイリスクハイリターンの一攫千金の夢を見て、一点買いをする訳で、ドンと落っこちると傷が深くなる、と。

個人的には、今は投資するよりも国債とかの方が良いのでは無いかと思いますけどね。
今の株価を見ていると、いつ底割れするのか判らない怖さがあります。
大体、煽る人ほど自分達はそうした商品を買わないのですから、損するは個人ばかりなんですよね。

そんな話は置いておいて、ここ数日、通勤の行き帰りで読んでいた本の紹介。
『アイドル歌会公式歌集1』(編者:俵万智、笹公人、吉田尚紀/短歌研究社・講談社刊)。
1があると言う事は、今後2が出る可能性も有るかなと思ったりする。

俵万智さんが絡んでいると言う事は、ガチの短歌集で、アイドルのお遊び的な本では無いです。
そして、出版元も短歌研究社という、短歌の出版をしているガチの出版社。

元々2020年に俵万智さんが『ホスト万葉集』と言う新宿のホスト達が詠んだ短歌を編者になって成功を収めたのが発端で、アイドルが短歌を詠んだらどんな作品が出来るんだろうと、笹公人さんがニッポン放送のアナウンサーであるゴボウこと吉田尚紀さんに声を掛けて、2021年に第1回を開催して以来、チケットの取れない名物企画になり、1年分の作品を書籍に纏めたもの。

総勢14名のアイドルが参加して100首余りの短歌を収録し、更に彼女達が考えた上の句或いは下の句に、ツイッターでヲタ達が付句をした1,000首余りを掲載しています。
勿論、それなりに文学的素養のあるアイドルさんが参加しているので、時には俵万智さんや笹公人さんを唸らせる様な句も出て来て、31文字のファイティングバトルの結果が並んでいます。

毎回のルールとしては、運営から2つのお題が出され、それに沿った句を考えると言うものと、後、お題が自由な自由句の最低3句を考えるというもの。

スタダからはエビ中の真山りかさんと、いぎなり東北産の律月ひかるさん、ソロアイドルで浪江女子にも所属している播磨かなさんが参戦。

真山さんの作品は結構真っ直ぐな感じの句が多く、やっぱりこう言った所性格が出ているなぁと思ったりする。
俵万智さんが推敲してアドバイスをした句もあったのですが、手直しせずにそのまま行きますとキッパリ告げたなんて言う裏話もあったりして、普段の真山さんが垣間見える感じがしました。

律月さんの作品は俵万智さんが激賞しているくらい、ワードの選び方が独特で、最近作詞もやっていると言う事なので、言葉遊びをうまく句に昇華させている天賦の才があるのだなぁと思いました。
普段の言葉選びも独自の世界を築いていて、まさにうさぎ天使魔法少女ワールドだと。

播磨さんの句で印象に残ったのが、2つのグループの解散に立会ったことに対する感慨を詠った句。
普段、おちゃらけた印象しか無かったのですが、その影に深い透察力を持って居たのだなぁと、そしてアイドルをまだまだ続けて行こうと言う強い意志を感じました。

他にも様々なアイドルさんが印象深い作品を残しています。
その中にはコロナ禍の波に抗えなくて、解散したグループのメンバーもいれば、自ら卒業を選択したアイドルさんもいます。
一瞬の刹那を切り取った様な作品もあり、単に色物の句会の短歌とは思えませんでした。

恐らく、作詞をするアイドルさんはこうした31文字の世界でも通用すると思うのですよね。
他のアイドルさんでも面白い句を作り出す人はいるのでは無いでしょうか。
今後、第2弾、第3弾が出るのか気になるところです。

アイドル歌会 公式歌集1

アイドル歌会 公式歌集1

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/09/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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世界の魔改造旅客機 [読書]

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今日は本当なら在宅にしたかったのですが、物品の引き取りがあるので出勤せざるを得ない。
と言う事で、頑張って早起きして、足拵えをしっかりして会社へ。
そして、足拵えをしっかりした御陰で、鍵を持っていくのを忘れました(苦笑。

1つ何かすると1つ忘れるんですよね、最近。
年は取りたく無いものです。
電車が遅れることも無く、何とか時間通りに辿り着き、会社に駆け込んだと同時に電話が鳴り、物品の引き取り業者がやって来ました。
正に間一髪です。

頑張って早起きした御陰で、夕方には電池切れを起こし、早々にお帰り。
今月は残業時間が全然増えません。
まぁ良いことと言えば良いことなのでしょうが。

さて、ここ数日通勤途上で読んでいた本の紹介。
『ギネス認定カメラマンチャーリィ古庄が撮った! 世界の魔改造旅客機』(イカロス出版刊)。

まぁ、通常就航していた旅客機から、変わったものを輸送する飛行機に改造された機体の紹介なのですが、正直、飛行機の場合は構造上、余り大きく動かせないものなので、どうしても何処かに名残が残ります。
鉄道車両の場合は、台枠だけ流用して、車体から何から全部載せ替えて、それこそ魔改造と呼べるものが数多くありますが、そう言う意味に於いて飛行機は、そこまで大きな改造があるものは少ないです。

大きく改造されて外見が変わるのは、規格外の大型貨物を輸送する機体。
例えば、セントレアによく飛来するB.747を改造したB.747-400LCF。
機首部に名残はありますが、胴体部は縦に大きく引き延ばされ、後部胴体がポッキリ折れてB.787などの主翼など大型の部品を世界各国から米国の工場に運ぶ為の専用機です。

同じものは、エアバスにもあり、最初はA.300-600を改造したベルーガはまだ面影を残しているのですが、A.330を同じ目的にしたベルーガXLは殆ど原形を留めていません。
そう言う意味では完全に魔改造ネタです。

元祖魔改造機としては、アポロ計画のブースターなどの大型部品輸送用にボーイング377ストラトクルーザーから改造されたグッピーシリーズがあります。
これも機首部と主尾翼は原形を留めていますが、エンジンはピストンからターボプロップに換装されたり、胴体は大きく縦に引き延ばされてまるでグッピーみたいな外観になったりしています。

それをもう少し小振りにしたのがCL-44Oで、こちらは原形が残りつつ、胴体だけ膨らませた格好です。
これとて、更に遡れば英国の旅客機であるブリストル・ブリタニアなのですが。

他にも人や貨物を運ぶと言うより、そのキャパシティを生かした特殊用途の機体、例えば、半導体会社やエンジンメーカーのテストベッドとなった機体や、ロケット空中打上げ用の母機、消防機や空飛ぶ救急車、病院、天文台とかそう言った機体の紹介などもあります。

ただ個人的には、一番の魔改造機と言えばビジネスジェットですけどね。
亜音速戦闘機の主翼と尾翼を流用して、人を乗せる胴体を作った機体、例えば、ダッソー・ファルコンシリーズの初期の機体はミステール戦闘機の主尾翼を流用したものだし、リアジェットもスイスの自社開発戦闘機FFA P-16の主尾翼を流用したもの、更にF-86戦闘機の主尾翼を流用したその名もセイバーライナーと言う機体もありました。

流石に旅客機では無いので、余り掲載されていませんが…。
後、こうした改造機には意外に元日本機と言うのが多かったです。
日本の航空機整備は質が高いとよく言われていますが、中古機市場で元日本機は程度が良いので、彼方此方で利用されています。
ただ、国内線の機体は発着回数が多いのでスクラップになる事も多いのですが。

そんな感じで、知られざる飛行機の世界の一面を知ることが出来る本でした。

ギネス認定カメラマン・チャーリィ古庄が撮った! 世界の魔改造旅客機

ギネス認定カメラマン・チャーリィ古庄が撮った! 世界の魔改造旅客機

  • 作者: チャーリー古庄
  • 出版社/メーカー: イカロス出版
  • 発売日: 2022/09/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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日本ご当地パン大全 [読書]

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今日は朝9時には出勤しないといけなかったので早起き。
昨日の興奮冷めやらぬところだったのですが、ぐっすり寝ることが出来ました。
何だかんだよく動いていましたからね。

予定通り起きる事が出来て、何とか会社に間に合う。
そして何時ものパッチ適用作業。
もう1つ、並行して行っていた作業があって、それがトラブると夜まで掛るんじゃ無いかなぁなんて思っていたのですが、意外にすんなり早く終わって、でも、微妙に横アリ2日目に間に合わなくて諦めました(ぉぃ。

まぁ、今日は生中継があったからそっちを見るつもりなのですが。
そして、運営の仕事は滅茶苦茶早く、昨日のライブ動画がもう上がってました。

超とき宣の楽曲については、追々書いていこうと思うので、今日はこんな所にしといてやるか。

さて、ここ数日通勤の行き帰りに読んでいた本。
最近は電車に乗ると疲れからか座ると同時に寝こけてしまい、中々読書量が増えません。
で、今回の本は『日本ご当地パン大全』(タツミムック/辰巳書房刊)。
ページが中々進まなかったのは、お腹が空いているときにこれを読むと空腹感が増すからと言うのもあったりする。

時々ここでも取り上げている『○○大全』シリーズの1冊です。
これも当たり外れがあるのですが、日本各地でその地域の人達に愛され、食べられているパンを紹介したもの。

各国でパンと言えば、大体その地域で獲れる粉を用いて生地を作り、その地域に根付いている酵母菌を用いて発酵させ、焼き上げたもので、精々がベリー系の果実を混ぜるくらいで、中に何も入っていないシンプルなものが多いです。
バゲットやクロワッサン、黒パンなんかが典型的なものですね。

一方、日本では海外から紹介されたパンをそのまま作るのもありますが、木村屋や中村屋の様に、生地の中に何かを挟み込むパンも多いです。
菓子パンや調理パンと呼ばれているものは、正に日本で独自に発展したものです。

こうしたパンは、あんパンやクリームパンが先ず生まれ、その後に各地に伝播する際に、その土地土地で様々な物を挟む様に変わっていきました。
パンは戦前、サラリーマンを中心に普及していたので、余り田舎には普及していきません。
とは言え、戦前の地方都市には喫茶店と言うコーヒーを飲ませる店が各地に出来ており、そこで供される料理にパンがあったりします。

当然ながら、爆発的に普及するのは、戦後、食糧難で米が入手出来ないときの代替策として奨励されてから。
米国から小麦の供与があったりして、パン作りが各地で行われる様になります。
特に学校給食にパンを選択する学校が多く、子供達にどんなパンを食べさせるか、と言うので、各社が工夫を凝らし、結果、学生だった子供達が大人になってその味を懐かしく思って、地域に根ざしていくと言う形のサイクルが出来て行きます。

これが「ご当地パン」と呼ばれるものです。
勿論、その中には徒花となったものも有りますし、今では作る人がいなくなったパンもあったりする。
しかし、その味を継承して新たに作り始めるパン屋もあったりして、愛される味は中々消滅しないようです。

ほうほうと読んでいたのですが、ふと思ったのが、阪神間にはご当地パンが無いのでは?という疑問。
欧米的な食習慣をいち早く採り入れたからなのか、菓子パンや調理パンに発展するよりも、フランスやドイツのパンや食パンをそのまま食べるケースが多い様な気がします。
海外のものをそのままなので、独自に発展する余地が無かったのでは無いだろうか。
だからか、阪神間のご当地パンは余り掲載されていません。
私も、神戸のご当地パンって何って聴かれても、「う~ん」ってなっちゃいますからね。

まあ実際には何かあって、この本の編集者が追い切れてないだけなのかも知れませんが。

日本ご当地パン大全 (タツミムック)

日本ご当地パン大全 (タツミムック)

  • 出版社/メーカー: 辰巳出版
  • 発売日: 2022/06/02
  • メディア: ムック


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追憶の私鉄車両の旅 [読書]

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今日は医者をブッチして成田に出掛けるつもりで、5時40分に目を覚ましたのですが、何となく嫌な予感がして結局見送り。
ちょっとした悪い予感はよく当たるもので、こんな時に成田に出掛けたら何を言われるか判ったものでは有りません。

なので、来週に見送りです。
そしてリハビリに行きましたが、暖かくなったためか、じいさんばあさんが多く来ていて何時も以上に混雑し、終わってみたら昼前。

結局、パン屋、西友に行って昼飯とかを買って、後はのんべんだらりと過ごしました。
買物がてら『翔んで埼玉』を見に行こうか、或いは大宮のばっしょーリリイベに参加しようかとか色々思ったのですが、流石に自重です。

さて、今日はここ数日通勤の行き帰りに読んでいた本の紹介。
『追憶の私鉄車両の旅 懐かしの個性派車輌に想いを馳せる』(谷川一巳著/イカロスムック)

1970年代から2000年代まで、筆者が旅した先で撮影した写真と、旅の思い出を書いた本です。
高度経済成長期から鉄道が蔑ろにされ、どんどんどんどん廃線が増えて行く中の最後の光芒を放っていた時期の鉄道会社が多く取り上げられています。

1990年に出版された私鉄の本を持っていますが、そこからどれだけの鉄道が消え去ったか。
更に多くの地域交通の担い手は効率化の名の下、何等の支援も無くどんどん淘汰されています。
バスの本でも書きましたが、そのうち昔は多くの鉄道やバスが走っていたけど、彼方此方で分断されてしまい、山脈を越えるのにも苦労するのでは無いでしょうか。

それはさて置き、イカロス出版の本は玉石混淆で、今回の本は残念ながら石の方です。
谷川さんは、交通ライターとして有名な方ではありますが、今回は編集チェックが全然無かったからか、かなり事実誤認があって残念です。

特に日立電鉄と銚子電鉄に譲渡された営団地下鉄車輌を元丸ノ内線の車輌と記載しているのはどうかと思います。
ちょっと調べれば銀座線の車輌であることが判るのに、思い込みなのか何なのか、そして校正段階で編集者がちゃんと訂正すべきだったのでは無いかなぁと。

他にも?な記述が其処此処にあって、ページをめくるのが段々苦痛になっていきました。
取り敢ず、先日の『民族の~』でしょうもない本に耐性がついたから、最後まで読みましたが。

そう言った否定的な目で見てしまうと、纏め方が結構雑じゃないかなぁと言うのも目につきました。
既に引退している車輌の写真が掲載されているのは未だしも、水島臨海鉄道のように、キハ20系が未だ現役なのに、旧塗装の車両の写真を載っけてたり、青い森鉄道のように、まだ現役の車輌を掲載していたり何かちぐはぐな印象を持ちました。

そして、東の人だからか判らないですが、東の方はそれなりに独立した記述になっているのに、西になるにつれて2社を1つのページで紹介して、中には文章だけと言うものも。
大手私鉄は大体2ページに亘って紹介しているのに、阪急は能勢電と、阪神電鉄は1ページのみと言うのはちょっとどうなんだ、と思った。

全体として残念な鉄道本でした。

追憶の私鉄車両の旅 (イカロスMOOK)

追憶の私鉄車両の旅 (イカロスMOOK)

  • 作者: 谷川一巳
  • 出版社/メーカー: イカロス出版
  • 発売日: 2023/09/22
  • メディア: ムック


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地下鉄の魅力大研究 [読書]

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今日は寒くて引き籠り…と言うか、午前中からお仕事をして、その後に8時間後に仕事を再開する変則的な勤務体系です。
御陰で代休も付きやしない。

それでもって、今日は夜から出て行くので変則的にブログも日中に上げる事になります。
と言う事で、ここ数日通勤の行き帰りで読んでいた本。
『地下鉄の魅力大研究』(渡部史絵著/天夢人刊)。
『旅と鉄道』関係の本を出している出版社から出ている本です。

北海道から九州まで、日本全国の地下鉄(但し、半官半民に限り、私鉄の地下鉄部分は此の限りに非ず)を取り上げたものとなります。
地下鉄か否かというのは、本来は国土交通省が地下鉄認定した路線を指しているので、阪急京都線の瓦町~大宮間とか長野電鉄の長野~権堂駅とか北越急行、神戸高速鉄道など色々ありますが、それは割愛です。

先ずは関東から東京地下鉄線と都営地下鉄を取り上げ、後は北から順番に札幌市営、仙台市営、名古屋市営、Osaka Metro、京都市営、神戸市営、福岡市営を取り上げていて、後、関東の地下鉄に接続する第三セクターである北総鉄道、東葉高速鉄道、埼玉高速鉄道、東急に接続する第三セクターの横浜高速鉄道、更に広島の第三セクターである広島高速交通を取り上げています。

但し、東京地下鉄と都営地下鉄はそれなりにボリュームが有るものの、関東以外の地下鉄については、簡潔に纏めたためか、1路線4ページ程度のもの。
それでも、路線、歴史、車輌について簡潔だけど必要十分な情報量である上に、地方別に路線図とか各項目に駅名一覧やら設置箇所(地下か地上か)ホームドアの有無などの表を纏めているなど、手軽な地下鉄入門本として利用出来ます。

各地方の切れ目途中途中に今では引退した車輌についてコラム形式で紹介しています。
出来れば、車輌の紹介については現時点の車輌だけを紹介するに留め、引退車輌については別に章を割いて紹介してほしかったなぁ、と思います。
コラムを掲載するなら、幻の地下鉄とか歴史関係の記述の方が良かったのでは無いか。
様々な地下鉄でエポックメイキングな車輌が登場しているはずなので、この部分だけが不満点でした。

しかしながら、流石に鉄道関係のライターさんだけに、各社の紹介については、微に入り細に入りでは無いにせよ、要点を押えていて判りやすい。
今の地下鉄網を紹介する入門書としては、及第点なのでは無いでしょうか。

地下鉄の魅力大研究 北海道から九州まで、全国の地下鉄を路線別に徹底解説!

地下鉄の魅力大研究 北海道から九州まで、全国の地下鉄を路線別に徹底解説!

  • 作者: 渡部 史絵
  • 出版社/メーカー: 天夢人
  • 発売日: 2023/10/11
  • メディア: 単行本



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世界「民族」全史 [読書]

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今朝は流石に寒かったのですが、まだ大丈夫と頑張って何とか起きて仕事に行きました。
とうとうハーフコートを出しましたが、行きはちょっと暑かったです。
しかし、帰りは結構寒かった。
やっぱり少しずつでも季節が進んでいるのですね。

さて、昨日書いていた書評。
余り乗り気ではなかったので、Bing Chatが作成したものを貼付けようかなぁなんて思っていたのですが、その文章を見るとやっぱり同じ事を思った人がいたようでした。
それ以上に、この本に好意的な人が多かったのは意外。
てな訳で、『世界「民族」全史 衝突と融合の人類5000年史』(宇山卓栄著/日本実業出版社刊)の話を書く。

初っ端から書いておきますが、かなり今回は辛口です。

こうした本が学術書として世界史の書棚に置かれているのが、日本の学問の衰退だなぁなんて思ってしまいました。
好意的な書評をしている人が密林なんかでは多かったのですが、この辺はライトユーザーには受けるんだろうなと思ったりする。

海外の文献なんかを読むと、膨大な数の原註、そして出典の多さに驚きます。
巻末には50ページくらい延々と出典とか原註が書かれている事もあったりします。
大体それも一次資料に当たって書いているケースが多い。
或いは文化人類学的なものだと、微に入り細に入りフィールドワークを行い、そのフィールドワークの結果と先人の文献を比較検討して、自分の考えを導き出すような本が多いです。

一次資料を読み込んだ場合、それを客観的に評価する、例えばとある街の近世の産業構造を述べる場合でも、その町を統治する官僚が何人、農家が何軒あって、商店が何軒、粉を挽く風車が何台有って…みたいな、資料を読み込んだ上でかなり具体的な数値を出して証明をしています。
それを否定する場合でも、客観的証拠を出して否定する形の記述が多い。

まぁ、此処まで書いたら、この本のレベルが判ると思うのですが、この本は正直、「ボクの考えた民族史」でしかありません。
客観的に見せるような形で、遺伝子レベルがどうとかとか書いていますが、どの文献からの出典かが全く書かれていませんし、サンプル数がどれくらいあってそれが信頼に足る数値なのかどうか、全く判らない。
「半数が…」とか「かなりある」とか曖昧な記述に終始しています。

そのあやふやな遺伝子解析を根拠に、縄文人と弥生人の分化を否定していたり、アイヌや琉球人の存在と言った日本に於ける少数民族の存在をまるで無視しています。
極端なのは、中国の民族についての記述。

思い込みの激しい人なんだろうなと思いますが、中国憎しで客観的な記述が全く出来て無い。
なので、この部分も学術書として成立していない訳で。
まるで漢民族という存在を完全に消し去ったかのような記述、尚且つ、中国には多数の少数民族がいるにも関わらず、彼等は全く存在していません。
これは台湾も然りです。

なので、ここで放り投げようと思ったのですが、まぁ読み進めてみようと思いました。

しかし、他の民族についても通り一遍の表層的な記述ばかりで、ちらほらと優生学的な記述やら骨相学みたいな記述が垣間見られます。
逆に言えば、奇書の類。

欧州関係の民族にばかり(しかもそれは表層的なもので、ロマとかバスク人などもほぼ無視)重視した感じの章立てで、その中でもロシアのスラブ人の記述は漢民族同様に悪意に満ちた様な印象を受けました。

そして、南北米大陸、アフリカ、オセアニアはほんのちょっと申し訳程度に触れただけ。
民族全史を謳うのであれば、そもそも発祥のアフリカから説き起こさないといけないんじゃ無いかと思うのは私だけか。

で、巻末に掲載されている参考文献を見て、更に萎える。
大体、参考文献として掲載されているのは新書とか文庫の類です。
一次資料には当たっていません。
こんな代物を学術書コーナーに置くのもどうかと思いますけどね。
最近の書店は売らんかな商売だからねぇ、こんなのでも売れるんでしょう。
特に、日本人の自尊心を擽る商法ですから。

学術書を読み書きしている人にとっては、他山の石とすべき本と言えますし、正直読むだけ無駄です。
まぁ、御陰様で忍耐力だけはつきました。
そこだけは、この本の良かったところかも知れません。

世界「民族」全史 衝突と融合の人類5000年史

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路線バスで日本縦断! [読書]

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今日は成田に再び行こうと思いましたが、流石に疲れが出たので起きられませんでした。
と言う事で、ペンライト用の充電池を買いにショッピングモールへ。
取り敢ず昭和橋に出て、来たバスに乗り込もうと思ったのですが、西川口行きが来てこれは見送り。
次の赤羽駅行きに乗り込みます。

赤羽には大規模ショッピングモールはありませんが、結構色々ありますからね。
西口のイトーヨーカ堂に行って、その中の電気屋さんでEVOLTAを購入。
単3電池も購入したのですが、余り意味が無かった。

ついでに、GUで冬用の飛行帽やらモコモコルームウェアを購入。
最近、冬用の寝間着がボロボロなのに気が付いたので。
それから本屋に寄ったのですが、結局何も買わずです。
密林で一通り読みたい本は揃っていますし、余り読みたい本がありませんでしたからね。

久々にイトーヨーカ堂のネコネコパン屋でパンを買って、バスに乗り込もうとしたらタッチの差で乗れず、赤羽駅東口に回ろうかと思ったら、信号が変わらずに諦めました。
でもって、西友に寄って家に戻って来ました。

さて、ここ数日、通勤電車で読んでいた本の紹介。
『路線バスで日本縦断! 乗り継ぎルート決定版』(宮武和多哉著/イカロス出版刊)。

ここ最近、バスの乗り継ぎ旅というのがテレビの企画番組で多く放送されています。
昔は、鉄道が縦横無尽に敷設できない為、鉄道駅からバス路線が網の目のように張り巡らされていたり、通勤電車を補完する為に、都市部でも中核都市から衛星都市行きのバスが設定されていたりしたのですが、バスの運転士は苛酷な勤務な割に実入りが少ないと言うのでなり手がいなくなり、また、自動車の普及や少子化により現金客、或いは固定客がいなくなって収益が見込めないと言う事で、各地の路線バスがどんどん廃止されています。

先日も大阪南部の路線バスが廃業するというので騒ぎになっていましたし、首都圏でも大幅な減便があると言うので話題になっていました。
当然、往来の少ない県境越えのバス路線は廃止されて、各地分断されています。

冗談抜きで、過疎地の交通網はズタズタになって、自動車を持って居ない人はそれこそ江戸時代に逆戻りしています。
徒歩で山越えをしないとバスにも乗れないと言うね。

地域交通の維持管理はそれこそ行政サービスの一つだと思いますが、「小さな政府」を指向している今の政権じゃ、とてもじゃないけどこんな地域交通のことなんか考えないのだろうなと思います。

で、この本は、北海道から沖縄まで、バスで行ったらどうなるかと言うのをシミュレーションしたものです。
交通系YouTuberの誰かが、この企画をガチでやってましたが、この本の作者は、実際にこの路線バスでの完全な乗り継ぎ旅はやっていません。
なので、シミュレーションとしか言い様が無い。

本にするのだったら、こんなタイトルを付けずに、ちゃんと実体験してから書けよと言いたいですね。
しかも、最短距離で動くのなら動く、或いは本数の多い路線を選ぶなら選ぶできちんと信念を持って行けば良いのに、途中で観光名所に寄りたいからとか何とか理由を付けて、わざわざ大回りルートを選んだり、本数の少ない路線を選んだりしていて、一貫性に欠けるのでは無いかと思いました。

まぁ、多分この人のネタが尽きたのだろうとは思いますが。
でも、ここからここに行くには、「バス会社のホームページを参考にするとこの路線とこの路線に乗り継げば行ける筈です」と書いていたりして、取材も何もしてないのであれば、それこそ、ジョルダンとかAIで作成すれば、最適解を出してくるのではないかと思ったりする。

実際に経験してみて、ここのバスはこれだけしか本数が無いからここで一日を費やすとか、そのためにはここに泊らないといけないとかそうした経験談があれば、ルポルタージュとして秀逸な作品になると思うのですが…。

しかも、本は半分で北海道の宗谷岬から沖縄の南西諸島最西端のバス停まで行っており、後は余談的にこんな路線でここまで行けます、みたいな埋め草記事が次々に出て来ます。

正直、途中で投げ捨ててやろうかと久々に思った本ですが、一応最後まで読み切りました。
久々にこんな思いに駆られましたね。
確かに、路線バスの環境は厳しくて、地域によっては全く路線がなくなった所も在りますが、そうした箇所をしっかり掘り下げれば、今の交通問題の提起にもなりますし、「半分で終わります」にはならなかったのでは無いでしょうか。

かなり読んでいて疲れた本でした。

路線バスで日本縦断!乗り継ぎルート決定版

路線バスで日本縦断!乗り継ぎルート決定版

  • 作者: 宮武和多哉
  • 出版社/メーカー: イカロス出版
  • 発売日: 2023/07/10
  • メディア: Kindle版



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コーヒーと日本人の文化誌 [読書]

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今日は在宅勤務。
そして、10時から17時までみっちり会議。
間、昼休み以外トイレに行くことも出来やしません。
出社してたら完全に死んでるところでした。

さて、そんなこんなで通勤の行き帰りで読んでいた本の紹介。
『コーヒーと日本人の文化誌 世界最高のコーヒーが生まれる場所』(メリー・ホワイト著/有泉芙実代訳/創元社刊)。

昨日、我が家のインスタントコーヒー事情を紹介したのですが、実はこれの枕に書こうと思ってたものです。
この本は、文化人類学の観点から、外国の飲み物であるコーヒーと日本人との係わりを書いた本です。
5年前に出版されたものの、直ぐに絶版になっており、このほど復刊したもの。
そして復刊に際しては、出版時から時間が経過しているので、新たな章を設けて、最近の事情を追加していますので、改訂新版としての扱いです。

日本ではスタバとかタリーズコーヒーとか色々な米国資本のコーヒーチェーンが進出しており、そこに入って、オリジナルのメニューを飲むのがお洒落でインスタ映えすると言う事で人気があるのですが、意外なのは、その源流というのは日本のコーヒーショップ、所謂「喫茶店」と呼ばれる店だったりします。

実際、ファッション業界の中心がフランスやイタリアであるが如く、日本のコーヒー業界と言うのが世界のコーヒー業界の中心と言っても過言では無い位、世界に影響を与えているのです。
ファッション業界の場合は、最終製品である服飾品にのみ視線が行きがちで、中間製品や原材料については余り焦点が当たらないのですが、コーヒーに関しては生豆の生産段階から熟成、焙煎、そして豆を挽いて粉にし、カップに注いで客に提供するまで、そのコーヒーを淹れるために使う道具類、更にその客が楽しむ空間まで、全ての段階で日本が世界の中心にいるのです。

勿論、豆の生産は栽培可能な地域が限られていますから、日本では余り(確か八丈島とか南西諸島くらい)生産が出来るものでは有りませんが、先日触れたイタリア料理が海外で発展し、自国に帰ってきたように、明治時代に日本から中南米に移民した人々がコーヒー農園を経営し、自社製品の市場を拡大するために母国でコーヒーを広めようとしたのがコーヒー文化が生まれた切っ掛けの一つでした。

ただ、日本人とコーヒーとの係わりはかなり古くて、江戸時代にオランダ経由で、特に蘭印で栽培されたコーヒーが日本に多く輸入され、幕末にはコーヒー豆を挽いたものを砂糖で包んだお菓子が日本国中に流通していたそうです。

そんな素地があったからか、コーヒーは忌避されること無く、コーヒーと言う飲み物は日本人に受容され、更にブラジルなどの中南米から移民たちが母国に安い価格(時には無料)でコーヒーを供給したが故に、コーヒーを飲むと言う習慣が日本人の間に定着し、茶店をモダナイズした喫茶店という営業形態の店がコーヒーを提供する為に誕生した訳です。

このコーヒーを提供する喫茶店というのは明治に誕生しましたが、最初は洋風文化の模倣から始まり、日本人の感性によりローカライズされて様々な枝葉に分かれていきます。
例えば、地域の人達の交流の場となる様な純喫茶とか、欧米のカフェの様に談論風発の政治活動家が多く居た店や芸術家が集うサロン的な店、コーヒーよりも酒を提供する風俗店に近いカフェ・バー、コーヒーを提供するだけで無く音楽を聴かせる付加価値を持つ音楽喫茶、聞くだけで無く自ら歌う歌声喫茶などなど、様々な業態に変化していきます。

このように著者は1963年の初来日以来、フィールドワークを通じて日本の喫茶店文化とその周囲のコーヒー文化を研究し、日本人とコーヒーとの係わりを描き出しています。
この研究は現在も続き、来日する都度、新しい喫茶店に入って新しい文化の誕生に触れているそうです。
正に飽くなき探究心の塊だなぁと思います。

それにしても、日本がコーヒーの中心になっているとは驚きましたし、そのコーヒーは江戸期から此の方、日本で親しまれていた飲み物だったとは夢想だにしませんでした。
意外に日本が世界に誇れる製品なのだなぁと、認識を新たにしましたね。

そろそろ、ちゃんとした喫茶店で美味しいコーヒーを飲みたくなりました。
そう言えば、鳩ヶ谷にはそうした喫茶店をあまり見ない気がしますね。
単に私の探究心が足りないだけかも知れませんが。

改訂新版 コーヒーと日本人の文化誌: 世界最高のコーヒーが生まれる場所

改訂新版 コーヒーと日本人の文化誌: 世界最高のコーヒーが生まれる場所

  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2023/08/22
  • メディア: 単行本


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国鉄時代の貨物列車を知ろう [読書]

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今日は在宅勤務。
御陰で、雨に降られることも無く、また電車の運転見合わせに遭遇することもありませんでした。
ついでに今日はフレックスで蒸けて、リハビリに行って来て土日は暇になったのですが、よくよく考えてみると来週土日は両日とも出勤になります。
そして、再来週土日は久々に遠征に出掛けるので、今週遠征に出なくてもと言う思いもあったりする。

しかも、残暑が厳しいし。
来週以降やっと涼しくなってきそうですけどね。
しかし、涼しくなると言う事は北風運用になるんだろうなぁ。

さて、ここ数日読んでいた本の紹介。
『国鉄時代の貨物列車を知ろう 昭和40年代の貨物輸送』(栗原景著/実業之日本社刊)
今年は日本の鉄道貨物輸送150周年と言う事でその類の本が色々と出ています。
本書もその1つですが、切り口は国鉄時代の貨物列車について。

鉄道関係の本だと主流は機関車とか百歩譲って貨車のメカニカルな視点ですが、こちらは貨物輸送の歴史に重点を置いた本です。
とは言え、150年の貨物輸送の歴史を漫然と綴ったわけでは無く、貨物輸送がピークを迎えた昭和30年代後半から日本の高度経済成長を終える昭和40年代後半までに主眼を置いています。

勿論、鉄道貨物輸送の歴史は長く、その前後の歴史も書かれていますが、新書判の本にいっぱい詰め込んでも仕方ないので、あくまでも国鉄の貨物輸送の栄枯盛衰を辿った感じになっています。

実際、貨物輸送の実情というのに余り詳しくなかったりするので、何故に鉄道貨物輸送が廃れたのかと言うのがイマイチピンと来ていませんでした。
まぁ子供の頃から旅客輸送メインの私鉄沿線で育った人間ですから、貨物列車にはそんなに思い入れが無かったわけで。
国鉄の最寄り駅も国電区間の駅だったため、旅客のみで貨物扱いが無かったし。

私が今まで思っていた貨物輸送と言うのは貨物駅で貨車に荷物を積んで、その貨車を連結して各地に運ぶと言うものでした。
(パソコンのゲームのイメージがそれですからね)

実際にこの本を読んでみると、種々雑多な貨車をつないだ鈍足の貨物列車が各駅で貨車の解結を行い、それらが近郊の貨物駅に集約され、そこで方面別に貨車の仕訳が行われて、やっと方面別の急行貨物列車が仕立てられ、次の拠点貨物駅まで輸送、そこでまた貨車の解結を行い、再び行き先別の鈍足貨物列車に仕立てられて、目的地の駅迄輸送されると言う事をしていたそうです。

貨物の増大も相俟って、昔の手法をずっと残したままで、膨大な人員と時間が食われ、送り出した貨物は何時目的地に届くか判らないと言う状況に陥っています。
その間に幹線道路網が整備され、戸口から戸口に文字通り輸送出来るトラックがいつ届くか判らない鉄道貨物に取って代わることになります。

それに対抗する為に採ったのが、新たな投資が必要となるコンテナ化では無く、既存の設備を流用したヤードの近代化という手法でした。
投資費用は抑えられるものの、トラック輸送に対抗すべき競争力は無く、かくして膨大な赤字を垂れ流す存在と化していきます。

昭和40年代に入って、遅れ馳せながら通運事業者とタッグを組んでのコンテナ輸送とトラック輸送を組合わせた近代的な輸送手段が取入れられましたが、ヤード近代化の莫大な投資が回収できず、コンテナ化で更なる投資が嵩み、その他の赤字で二進も三進も行かなくなっていきました。

他にも労使紛争や相次ぐ値上げによる客離れと言うのもあるし、親方日の丸の公共事業体である為に、民間会社のように選択と集中が出来なかったと言うのもあります。
国鉄の分割民営化は、様々な要因が重なっての出来事ですが、貨物部門の赤字も見逃すことが出来なかった訳です。

この本では最盛期の国鉄貨物の輸送実態を明らかにするとともに、それだけの規模を誇りながら、何故衰退していったのかと言うのを素人にも判りやすくきちんと解説してくれています。

また、こうした本では貨車を用いた大型貨物輸送に視点が向きがちですが、小口貨物輸送や荷物輸送、郵便輸送や専門貨物輸送、それらを運ぶ為の運賃体系と言ったニッチな部分にも目を向けていて、普段、我々が知らない世界を見せてくれたのも面白かったです。

勿論、車輌好きも入って行き易いように、巻末には機関車と代表的な貨車の解説も載っけていて、これ1冊あれば、国鉄時代の貨物輸送について理解出来る本になっているのでは無いかと思いますね。

国鉄時代の貨物列車を知ろう 昭和40年代の貨物輸送

国鉄時代の貨物列車を知ろう 昭和40年代の貨物輸送

  • 作者: 栗原 景
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2023/07/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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