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はやぶさ2 最強ミッションの真実 [読書]

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今日は出勤。
うちの会社も、どうやら職域接種を行うらしい。
総務の人間が、質の良い電源を求めて彷徨っておりました。
UPSに繋げるなり、マシン室に置いておくなりすれば良いのにねぇ。
あそこは温度が一定だし、セキュリティーは掛かるし、電源もそれなりに質の良いものがある。
ただ、耐荷重はそんなに無いけど。

さて、何だかんだでここ最近、通勤途上で読んでいた本。
『はやぶさ2 最強ミッションの真実』(津田雄一著/NHK出版刊)
去年の年末にリュウグウの土や埃や岩石の入ったカプセルが地球に帰還したはやぶさ2ですが、燃料も未だ半分残っていますし、観測機器も正常、マーカーも未だ1個残っている状態なので、次のミッションとして11年後に新しい小惑星に接近する事になっています。
そう言う意味では、今これを書いている時点でも、はやぶさ2は次のミッションに向って進んでいるわけです。

この本は、丁度カプセルの帰還が話題になっていた頃に出版された本です。
買っておいたは良いけれど積ん読状態になっていたので、やっと読むことが出来ました。
前回のはやぶさの時もプロジェクトマネージャーだった川口さんが本を書かれていたのですが、今回の津田さんもはやぶさ2のプロジェクトマネージャーとして活動した人です。

宇宙開発の世界ではソーラーセイルを手がけた人として有名だそうです。
これは殆ど奇想天外なアイデアにより生まれたもので、そのユニークな研究内容にJAXAの上の人達が目を付け、はやぶさ2のPMに推戴したのだとか。

このミッションはどうしても先代と比べられることが多いです。
先代があれだけドラマチックな地球帰還を成し遂げ、更にその成果を拡大する事になったとき、輿論は最初から成功を期待し、はやぶさ以上にドラマチックな展開を期待します。

通常のプロジェクトだと、どうしても保守的に身構えることになってしまいがちです。
誕生時から、スタッフの間では相当なプレッシャーがあったのだと思います。
しかし、ここはNASAですら手がけていない未知なる領域ですから、自由にチームを組むことが出来ました。
勿論、基礎研究にお金を出さず、直接的にお金になるものしか金を出さない日本の科学行政ですから、資金には限りがあります。

そんな制約を創意工夫で乗り越え、打ち上げに漕ぎ着ける。
更に打ち上げ後も、何の気なしに熟しているミッションに次々に危機が迫ると言う状態だった様です。
ただ、そこは最初に作り上げたチームの腕、それぞれのスタッフが八面六臂の活躍をして、障害を突破していきます。

はやぶさの時は映画にもなりましたが、はやぶさ2でもドラマチックさでは引けを取りません。
何を目的とするか、何を以て達成とするか、目標をきちんと立てる事が重要だな、と感じました。
今の政府のように、行き当たりばったりで、結果良ければ全て良しというものでは無くて、これこそ理想のプロジェクトの動かし方だなぁ、と。

その目標も、単にはやぶさのミッションをクリアするだけで無く、それに加えて探査機の放出、サンプルの回収、2度に亘る着陸、クレーターの作成などなどはやぶさの時は偶々出来たものを、きちんとした技術として確立すること、そこからは更にそれを上回る難易度が高いミッションを技術検証としてやっていく…。

こうした作業を地道に重ねていくと、気が付くと予定されたミッションは全て終えて、2回の着陸で採取したサンプルを地球に送り届けるところまで達成しました。
今、取り組んでいるミッションは完全にオプションとなっていたミッションだそうです。

こうして考えてみると、記者会見で彼が述べた「100点満点中1,000点です」という言葉に嘘偽りが無い事がわかります。
逆に考えると、人間の欲求は尽きないもので、はやぶさ2の後継機では、はやぶさ2のミッションを上回る冒険的なミッションが出て来るのでは無いでしょうか。

まぁ、たまたま色々あって科学行政も槍玉に挙げられ、一時は予算が付かないかもと言われたのが、はやぶさの成功で棚ぼた式に予算が付いたのが切っ掛けだった訳で、ここ最近、科学行政に冷たい政権が続いているので、次の探査機ミッションはどうなるのか不透明なのですけどね。

それにはやぶさ2チームの様に、最強の布陣がZ世代から出せるかと言う問題もあります。
日本の人口はまだそれなりに多いので、後10年くらいは大丈夫なのかも知れませんが、そう言う意味では、宇宙開発技術と言うのは、日本の物作りの最後の砦なのかも知れません。

はやぶさ2 最強ミッションの真実 (NHK出版新書)

はやぶさ2 最強ミッションの真実 (NHK出版新書)

  • 作者: 津田 雄一
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2020/11/10
  • メディア: Kindle版



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