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失われた国鉄ローカル線 [読書]

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今日はちゃんと出勤しないと年末調整が出せない。
と言う事で1週間ぶりに会社へ。
それにしても、真っ黒になって書上げた年末調整の書類、書かなくても良いところを書いてしまって、しかもそれが間違いだと分かったときの徒労感たるや…。

自分を勇気づけるため、のんとも。Mの『明日があるさ』のMVを投下。
『あまちゃん』と『この世界の片隅に』の豪華出演者たちのコラボです。

それはさておき、寝込んでいたときに読んでいた本の紹介。

『失われた国鉄ローカル線』(結解喜幸著・レイルウェイズ・グラフィック撮影/イカロス出版刊)
国鉄の赤字が増大し、経営の建て直しをしないといけない時、真っ先に手を付けたのが、建主改従の政権の基で濫発された地方ローカル線の整理でした。
今まで、何度もやろうとして抵抗に遭って頓挫していた施策でしたが、国鉄が二進も三進も行かなくなった1979年にやっと輸送密度という尺度でローカル線を機械的に整理する事になり、3次に渡って一律基準で廃止する事になります。

そして1983年の北海道白糠線から、1990年の山陰の大社線、近畿の宮津線、鍛冶屋線まで、83路線が廃止され、ある路線はバスに転換、ある路線は第三セクター鉄道に転換していきます。

それから30年を経て、第三セクター鉄道も多くが赤字経営に苦しみ、中には転換しても路線が維持できずに廃止されたものもチラホラ出るようになりました。
また、バス転換した路線でも、地域の過疎化の進展により他の路線と統合されたり、或いは途中で打切りとなったり、鉄路を辿らずに人口密集地を繋げるように路線を変更したり、極端な場合は路線廃止に至ったものも出て来ています。

それは鉄路も同じで、今まで何とか維持できていた鉄路も、北海道や九州を中心に凄い勢いで廃線の憂き目に遭っているものが多くなってきました。

この本では、過ぎし日々の国鉄赤字ローカル線の日常を写真で切り取り、路線の成り立ちや廃線の経緯を簡単かつ明瞭に書いています。

合間合間に、ローカル線整理に関するコラムがあり、支線になっていた為に廃線を免れた砂川支線や美弥支線、特急の通過輸送人員を数えず、第三セクター鉄道転換を余儀なくされた伊勢線についても触れています。
結局、支線でもJRになると民間会社になったが故に、簡単に廃止されたわけですが。

営業係数などのデータも掲載しており、何故に廃止対象になったかが明瞭に分かるようになっていますが、100円儲けるのに1000円以上必要な線区は置いておいて、500円程度だと都会の路線でもそれくらいの営業係数が掛かっている地域もありそうな気がします。

あくまでも写真主体のムック本なので、そこら辺は深く追求はしていませんが、現在の民間鉄道の在り方についてコラムで切込んでいるのに好感が持てました。

赤字増大の原因は野放図な建主改従政策にあったのも一因ですが、モータリゼーションに伴い国民に自動車が普及したこと、貨物需要がトラックにシフトしてしまい、人員輸送の赤字を貨物輸送で補填する事が出来なくなったこと、また国内生産が行われていた鉱業の産品が、輸入品の為に大打撃を受けたのも効いています。

日本の公共交通は、首相自ら「自助」を筆頭に持ってくる辺り、自己の努力が必要とされ、地域の財産という考え方が希薄なように思えます。
このまま公共交通が切り捨てられていけば、未来には何が残るのか、都市部以外は自家用車という事になるのかも知れませんが、高齢化社会が拡がると、自動車に乗れない人も増えて行きます。
それこそ、都市部を除いて、町と町は結ばれる事が少なくなって孤立し、江戸時代に近い様相になってくるのでは無いでしょうか。

今ならまだ何とか手を打つことが出来るかも知れませんが、もう10年経つとどうなるか分かりませんね。

失われた国鉄ローカル線 (特定地方交通線の時代を振り返る)

失われた国鉄ローカル線 (特定地方交通線の時代を振り返る)

  • 出版社/メーカー: イカロス出版
  • 発売日: 2016/09/29
  • メディア: ムック



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