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AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争 [読書]

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今日はリハビリに出掛けて、スーパーとパン屋に買物に出掛けただけで帰ってきました。
八重洲ブックセンターにでも行こうか思ったのですが、途中で心が折れたので。
後は何もせず、信長の野望と、タブレットの20H2化をとかしていました。
タブレットの20H2が降ってきたので、適用したのですが、それ自体はかなり早くに完了。
しかし、後のパッチ適用に無茶苦茶時間が掛かっています。
3時間かけて未だ終わりません。
流石、メモリー2GBのタブレットです(苦笑。

さて、今日は体調を崩してたときに読んでいた本の紹介。
『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』(庭田杏珠・渡邊英徳共著/光文社新書刊)。
今はAI技術が発達して、写真なんか気軽に加工できるようになりました。
中にはDeep fakeと言って、本物とまごう事無き加工が為されて、それが拡散されるケースもありますが。

この本では、「記憶の解凍」プロジェクトの活動で行った、戦前や戦中、更に戦後直ぐくらいに撮影された白黒写真を、AI技術でカラーに変換したものを掲載した写真集になります。
写真が殆どなので、寝転がりながらでも気軽に読むことが出来ます。

AI技術の写真編集ソフトは、私も使っているのですが、技術的にはかなり精度の高いもので、写真の暗い部分を明るくしたり、明るくなり過ぎた部分を補正したりする事が出来ます。
なので、これを実行しさえすれば簡単に写真がよみがえるのかと言えば差に非ず。

AIはあくまでもAIで、過去の膨大な情報と対象物を分析し、それの補正を行っていきます。
あくまでも既存の情報ですから、それが現実なのかどうなのか判断することが出来ません。
勿論、当時の現実に近い状態に近づけることは出来ますが。

それには人間の記憶、その時撮影した写真に写っている人の記憶が現実の状態を補正することになります。
この「記憶の解凍」プロジェクトは、戦前に撮影された原爆投下前の広島中心街を撮影した写真に色を付けることで、広島の当時の姿を明らかにしようと言うものです。
白黒の写真であれば、遠い昔の様に感じてしまいますが、色が付くことで途端に現実世界に近づき、人々がより、その時の世界を身近に感じることできると言うのを狙いにしています。

そう言う意味では、ヒットした『この世界の片隅に』と言うアニメーションが、絵というもので当時の世界を身近に引き寄せたのと同じ手法と言えます。

この本の写真は、半分は報道機関提供のもので、戦争後期になると増えてくる米軍の写真は、カラー写真も多いため、ある程度の推測が付くのですが、日本の写真は物資不足もあってほぼ全てが白黒写真です。
半世紀近く前の航空ファン誌に、日本陸軍航空隊の鍾馗を撮影したカラー写真が掲載されたことがありましたが、その写真は全体的に苔が生えたような感じの写真でしたっけ。

こうしてカラー化した写真を、実際に写っている人に見て貰ったそうです。
勿論、多くの人は鬼籍に入っていますし、広島なんかだと写っていた人が原爆で死亡したとか、写真に写っている人はほぼ一家全滅したと言う人も少なくありません。

白黒の写真だと情報量に乏しいからか、鮮明な記憶がよみがえらなかった人も、色が付くと途端に記憶がよみがえる事が多かったそうで、お花畑で家族と撮った1枚の写真、そこに写っている花がAIでは黄色く着色されたのに、プロジェクトの人はシロツメクサだと思って白に仕上げたそうです。
すると、その人の記憶がよみがえって「これはタンポポだよ」と。
つまり、最初のAIの設定の方が正しかったと言う訳。

アルツハイマーで重症の痴呆症状が出ていた人でも、こうした写真を見て、一気にその場面の記憶がよみがえると言うケースもあったそうです。
このタンポポのケースが正にそれだったとか。

そう言えば、先日のYahooニュースを見ていたら、中国新聞の記事だったかと思いますが、最後のページに掲載されていた被爆1年後の広島でデパートの屋上から焼け野原を見ているカップルの写真。
その写真の被写体となったカップルが名乗り出たと言う報道がありました。

カップルは後に夫婦になって、数年前に奥さんが亡くなられ、旦那さんがこの写真を見て、「俺たちだ」となったらしい。

広島が中心のですが、他にも沖縄戦前の沖縄の写真とかもあって、新たな発見が色々と出て来るのでは無いかと思います。
惜しむらくは、もう少しこうした活動が早ければ、今以上に記憶を集めることが出来たのでは無いかな、と思ったりして。

写真を撮影出来る庶民は少なかったかも知れませんが、それでも庶民の生活が切り取られている記録は貴重では無いでしょうか。

この本が売れているのもよく判る気がしました。

AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争 (光文社新書)

AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争 (光文社新書)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/07/24
  • メディア: Kindle版


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