SSブログ

中国の航空エンジン開発史 [読書]

MSR_B777-300ER_GDP_0001.jpg

今日は一人クリーンデー。
そろそろ床が埃っぽくなってきたし、好い加減、暖房器具もしまい込まないといけなかったし、トイレも汚い。

と言う事で、掃除機を掛けて、オイルヒーターにカバーを掛けて、扇風機を出して、収納場所の埃を取って、オイルヒーターと空気清浄機をしまい込み、扇風機を設置。
掃除機を掛けたところから埃だらけになったので、もう一度掃除機を掛けて、部屋の中を綺麗にする。

その後は、久々にトイレ掃除。
この前買ってきたトイレマジックリンを使ったのですが、黄ばみが取れなくて、一旦水洗いして洗剤を落とし、窓を開けて換気を良くした後、塩素系の洗剤を掛けてやっと黄ばみを取ることが出来ました。
矢張り、黄ばみには塩素系ですねぇ。
後は、洗浄剤を取替えて、床やらを拭き掃除してキレイキレイに。
やっとこ、全体を綺麗にする事が出来たかな、と。

そうなると身だしなみも気になって、伸びた爪を切ったりして一日を過ごしたのですが、結局、昼寝をしそびれました。
その後は写真の編集三昧。

何か今年のゴールデンウィーク「も」、余り有意義な日では無かったような気がする。
これから7月まで祝日が無いのですよね。
そう言う意味では、これから学生さんとかは大変だと思ったりする。
まぁ、我々もだけど。

さて、ここ最近読んでいた本の紹介。
『中国の航空エンジン開発史 国産化への遠い道』(榊純一著/並木書房刊)。
この出版社の本は、当たり外れが大きいように思えるのですが、今回は当りでした。

以前から中国の自動車開発、その動力源であるエンジン開発について技術的に解説していた本は何冊か出ていたのですが、これらの本の出版は改革開放時代の頃、まだ中国のその手の産業が世界の遙か後塵を拝していた頃のものでした。

海軍力については、『世界の艦船』が定期的に中国海軍の特集を組んでいるので、まだタイムリーに追えるのかな思います。

しかし、中国の航空機開発について、体系的、技術的に解説している本と言うのは余り無く、大体が中国脅威論に基づく、恣意的な感じの解説本になっている様な気がしています。

これもその手の本の一つかなと思って、些か懐疑的に見てしまった(特に自動車産業についての本と比べるとかなりページ数が少ないのもあって)のですが、著者はIHIの技術担当重役まで登り詰めた人で、技術的観点から出来る限り客観的に、中国の航空エンジン開発について解説を行っています。
但し、IHIの人だけあって、ピストンエンジンについては全く触れられておらず、いきなりソ連から技術導入されたジェットエンジンの話から説き起こしています。

ソ連の影響という意味では、ジェットエンジンから説き起こすのも間違いでは無いと思うし、限られた紙幅で解放前の航空機産業について触れるのも大変でしょうから、バッサリ切るのもありかな、と思いますが、各国のジェットエンジン開発のくだりは必要なかったのでは無いかと。

寧ろ、ジェットエンジン導入前には旧日本軍機の運用やら、ソ連供与機のうち、La-5系列やYak-3系列などの戦闘機、Il-10やTu-2などの爆撃機、Il-14やLi-2、An-2、Yak-18、Po-2などの輸送機や練習機、連絡機などが入ってきていたわけで、前史としてこれらのピストンエンジン整備技術の習得についても、簡単で良いから触れた方がより深く中国の航空機産業というものを理解出来るのかなと思ったりする。

余談はさて置き、RD-500やVK-1のライセンス生産から始まった中国のジェットエンジン開発は、先進国に留学していた先進的な技師は少数でしか無く、ソ連の亜流として動くジェットエンジンを数多く生産する方向に進みます。

しかし、中ソ対立でMiG-21Fに搭載されていたR-13を最後にソ連からの技術協力が途絶え、そのR-13も図面は不十分、なので、現物をトレースした無許可コピー生産から独自開発をスタートさせました。
こうしたリバースエンジニアリングは、その後も繰返し行われますが、ソ連製のそれとは性能がまるで違いました。

特に耐久性の低さ、故障率の高さが結構問題になり、文化大革命の停滞期もあって、独自開発は影を潜めます。
鄧小平の改革開放によって、中国の航空エンジン開発は息を吹き返しますが、鄧小平の採った手は、欧米の技術協力によるエンジン開発体制の梃入れでした。
そう言う意味では、鄧小平は自国の技術陣には余り信頼を置いていなかったようです。

欧米からの技術導入によって、中国の航空エンジン開発は活性化します。
しかし、相変わらずの信頼性の低さは変わらず、開発期間も長期化したため、機体が先に出来てエンジンが出来ず、エンジンは結局外国製を採用すると言うケースも最近まで多くあります。

変化をもたらしたのは、GEが技術供与したCFM56エンジンで、これのコア部分はF110エンジンとほぼ共通です。
これをお得意のリバースエンジニアリングで吸収し、ロシアのエンジン技術と合体させて、最近の中国製エンジンは急速に質が向上しています。

米国の国防総省もこれらを問題点にしているわけですが、技術的観点から見れば、未だ未だ欧米の先端技術からすれば20年遅れていると言っても過言では無いと筆者は考察しています。
特にエンジン制御のコア技術部分は、各国にとっても文字通り中核技術なので、おいそれと各国は技術移転を許可しません。

中国は、米国からの民生用エンジンのリバースエンジニアリング、ロシアからの技術移転、ウクライナのエンジンメーカー買収、ドイツの産業用ガスタービン会社の買収などを図ろうとしていますが、今のところ上手くは行っていません。
このコア技術部分をモノにしない限り、それ以上の発展が見込めないわけです。

今のところ、中国の航空エンジン開発は飛躍的発展を遂げるまでには至っていませんが、今後、ロシア情勢が混沌とすれば、ロシアの航空エンジン技術者が中国に行かないとも限りませんし、ウクライナでも同様です。
また、日本もリストラリストラばかりしていると、家電製品と同じく、コア技術者が中国に雇われる可能性も否定できません。

そう言う意味では、航空エンジンと言う技術を通じて、各国の安全保障についても深く考えさせられる本だったなと思います。

中国の航空エンジン開発史

中国の航空エンジン開発史

  • 作者: 榊 純一
  • 出版社/メーカー: 並木書房
  • 発売日: 2022/04/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


nice!(7) 
共通テーマ:日記・雑感