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朝鮮通信使と彦根 [読書]

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今日は仕事納め。
今年は春先に1ヶ月近く入院して出鼻が挫かれ、色々あって本業が全く出来ず、反省ばかりの年になってしまいました。
来年は挽回したいですが、この状態が続くのなら難しいだろうな。
仕事面では余り良い運気には巡り会わなそうです。

で、ももクリについて書こうかと思っていたのですが、矢張り最終日の方が良かった。
今年は7日に大阪城ホールでやって、24日と25日がさいたまスーパーアリーナでした。
最初の日は色々と手探りだったでしょうし、25日は最終日なので色々と熟れていると思うので、24日は少し中途半端だった様に思えます。

毎回毎回、同じ構成とかだと飽きられますし、ももクリは何時からかストーリー性を持たせる感じのライブになっていっている様に思えます。
勿論、歌とかは何時もの如く上手くて、ダンスもキレッキレなのですが、今年は鳥の目だったからか、何か刺さらなかった。

同じ生バンド構成で、手練れも揃っているのに、平日だったからはっちゃけ具合にブレーキを掛けた所為なのかも知れませんが、何時もの様な感動とか有難味と言うのが正直無かったです。

原因としては、土曜日にエビ中のライブを見たからかもしれません。
あっちは6人が5人になって、しかも会場は去年と同じ幕張、去年は美玲ちゃんが奈落に落ちて大怪我したのから復活したと言うのも有って、ある意味リベンジだったりするので、力の要れ具合がかなり違いました。
なので、圧というか思いがビンビン伝わってくる感じのライブでしたから、ついついそれと比べてしまったのかも。

新国立競技場で見たら、また思いが変わるのかも知れませんけどね。

さて、ここ最近通勤の行き帰りに読んでいた本。

『朝鮮通信使と彦根 記録に残る井伊家のおもてなし』(野田浩子著/サンライズ出版刊)

滋賀県の地元出版社であるサンライズ出版が出している別冊淡海文庫の最新刊で、著者は今は立命館大学の非常勤講師ですが、長らく彦根城博物館学芸員をしていた人です。

この本は文字通り、彦根に立ち寄った朝鮮通信使にまつわるあれこれを書いています。
最初に、近江から美濃や伊勢に抜ける街道について説き起こし、関ヶ原の合戦の後、交通の要所として佐和山を与えられた井伊直政が、新たな城をどこにするかと検討した結果、佐和山では山がちな地形であることからそれを避け、近場に城地を置くことにした経緯。
そして、彦根が選ばれた経緯について推理しています。

彦根が城地に選ばれた後は、どうやって主要街道を彦根に取り込むかと言う交通政策について述べています。
徳川政権が彦根に城地が決まる前から、街道整備を検討し、京都と江戸を結ぶ街道から、中山道の鳥居本宿を移設し、多賀への分岐点であり、上方の豊臣勢が攻め上ってきた場合の防衛拠点の一環として高宮宿が設置されました。

彦根へは脇街道を使って繋げています。
東海道、中山道と言った五街道は、そもそも基幹道として幕府が整備し、それらを補完する街道も五街道の付属街道として道中奉行の管轄下にあり、彦根に繋がる街道は道中奉行の管轄下にありました。
対して、山陽道や北国街道は脇往還と呼ばれ、勘定奉行支配下ですが、整備は各大名家が分担していました。
謂わば、国道と県道の違いと言えるのでしょうか。

彦根に繋がる街道が何故道中奉行支配下となっていたか、と言うと、将軍家の上洛に際しての道筋だったからで、上洛が無くなっても、朝鮮通信使が使う街道として用いられました。
この結果、彦根に繋がる街道は「朝鮮人街道」と呼ばれていたそうです。

後半は、朝鮮人街道を通じて長崎と江戸を往還した朝鮮通信使の一行と、彦根の井伊家との交流について触れられています。
朝鮮通信使は、往還の途次、必ず彦根城下で一泊します。
彼等はどこにどの様に泊められたのか、そこではどんな接待が行われていたのか、そこに秘められた思惑について、資料を駆使して書かれていて、かなり読み応えがありました。

当時、国書改竄が明るみに出た柳川一件による、宗家への不信から、幕閣では宗家を介さずに直接幕府が朝鮮との交易を行おうとしたのに対し、それでは無用な軋轢が生じると考えた井伊直孝は、従来通り宗家を介した朝鮮との外交を行おうとして東奔西走しました。

まだ豊臣秀吉による朝鮮侵攻が生々しく記憶にあり、朝鮮の対日感情も余り良くなかった時に、ここで幕府が直接朝鮮と外交を行うと、下手をすれば更に拗れる可能性もあると考えた直孝は、朝鮮通信使一行をもてなして、日本に対する印象を少しでも改善しようとした様です。

実際に、朝鮮通信使は彦根での歓待を高評価して、以降もそれが続きました。
何時しか対日感情の悪化は影を潜め、朝鮮通信使として日本に来た人々は、彦根での人々との交流を心待ちにする様になったそうです。
こうした草の根交流についても触れていて、彦根での交流の日々を再構築しています。

交通政策、外交政策から見た彦根という位置づけをよく考慮した本になっていて、また厚さもそれ程では無いのでサクサク読めるのも良いところです。

朝鮮通信使と彦根 記録に残る井伊家のおもてなし (別冊淡海文庫)

朝鮮通信使と彦根 記録に残る井伊家のおもてなし (別冊淡海文庫)

  • 作者: 野田 浩子
  • 出版社/メーカー: サンライズ出版
  • 発売日: 2019/03/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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