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東急電鉄 車輌と技術の系譜 [読書]

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今日も会議の連続でなにも出来ず。
まぁ、1ページは出来たから良しとする。

今の家を手に入れる前、ずっと住んでいたのは東京でも23区と市部の境界線上にある京王沿線の地でした。
今更だけど、神戸に住んでいたときも芦屋との境界線上だったし、今の家にしても、鳩ヶ谷時代は数分歩けば川口だったし、どうもボーダー好きな気がする。

それは扨措き、京王沿線だったので、当然のことながら都心に出るには京王線を使っていた訳ですが、下高井戸で小さな2両編成の電車がちょこちょこ往き来していたのが妙に心に引っかかっていました。
東京の路面電車と言えば、都電しか知らなかったので、世田谷線という存在は虚を突かれる思いがした訳で、その後、その沿線で年末年始に開かれる「世田谷ボロ市」に出掛けたり、時々気分転換にランチしに行ったりして、何かと世田谷線にお世話になりました。
緑色の車体の電車は、釣り掛け車から何時の間にかカルダン駆動になり、更にステンレス車体のモダンなVVVFのLRTになってしまいましたが。

最近、通勤の行き帰りに読んでいたのは、『東急電鉄 車輌と技術の系譜 各時代で最新技術を取入れて進化したデハ1形から3020系までの歩み』(萩原俊夫著/かや書房刊)

時々出て来る、かや鉄BOOKと言うシリーズになります。
著者は、東急電鉄で車両開発に当たった人で、生粋の技術者です。
なので、副題にあるように、技術に観点を置いて、東急が未だ目黒蒲田電鉄や池上電気鉄道などを名乗っていた時代からの車両の解説を書いています。

車両解説だけだと普通の鉄道関係の書籍になってしまって、余り差別化が為されないのですが、確かこの人の父が、東急電鉄を中心とした鉄道趣味の泰斗である荻原二郎さんだった筈。
なので、父親が撮影した膨大な東急を中心とした車両の写真をふんだんに使用しています。
普通、こうした写真は戦後のものが多いのですが、荻原二郎さんは、戦前から写真を撮り続けているので、流石に創立当初の写真は無いですが、東急電鉄発足前の東京横浜電鉄や目黒蒲田電鉄時代の写真が多数掲載されているのが大きな強みです。

これによって、当時の車体の状態や機器の特徴などがわかり、それが戦後の更新でどう変わっていったかが一目瞭然で分かるようになっています。

また、自身も車両譲渡の業務に関わってきたので、東急電鉄が当時多数抱えていた鉄道子会社に放出したり、あるいは中小鉄道会社、中には大手の名古屋鉄道にまで譲渡した車両の改造方法や引渡し後の状況などについても克明に書いているのも貴重な記録になります。

萩原二郎さんと同じく、写真撮影が趣味でもあるので、自社の鉄道車両はおろか、各地に展開した譲渡車両の写真なんかも自分の手で撮影したものが公開されています。

なお、箸休めのコラムとして、東急の車両や運転環境に造詣の深い人が登場しての記事も読み応えがあり、軽量ステンレス車開発の苦労とか、相互直通運転の調整とか、車両譲渡の実務についての事情なんて言う裏話も色々と書かれていています。

埼玉に移ったことで都心がより遠くなって、東急沿線は更に乗りに行く機会がなくなり、特に今の状況は相互直通運転をしている目黒線以外はよく判らないのですが、久々に見に行きたくなりました。

東急電鉄 車輌と技術の系譜 (かや鉄BOOK)

東急電鉄 車輌と技術の系譜 (かや鉄BOOK)

  • 作者: 荻原 俊夫
  • 出版社/メーカー: かや書房
  • 発売日: 2019/08/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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