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国民車の再来? [パソコン]

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今日から4月。
でもって、今日から出勤です。
初日は考えることは少なく、昨日やっていたメールの取り込み作業と保守契約の申請作業、あと若干の報告だけで終わりました。
体制も一新したので、これから徐々に慣れていこうと思います。

ところで、まだ昨日の話題を引き摺るのですが、この前、アイリスオーヤマが5万円のノートパソコンを出したという記事がありました。
このスペックが余りに酷いと話題になっていました。

まずCPUがCeleronと有るだけで、型番が書いていない。
Gemini Lakeで4コアとあるので、恐らくCeleronのN4100辺りだと思います。
発売開始は4年前で、今年CPUはフェードアウトの予定。
元々がタブレット用のAtomを転用したようなものなので、性能は推して知るべし。
WindowsのFeature Updateを掛けようものなら、恐らく半日はかかる代物です。

メモリーはDDR4ですがPCに直付けで増設できない4GB。
今のWindows10なら4GBだとかなりもっさりで、サクサク動かすには最低8GBは必要。

ストレージは廉価版PCによく利用されているeMMCで、64GBしか容量がありません。
eMMCと言うのはHDDよりはアクセス速度がマシですが、SSDの前世代の代物なのでこれまた現在のストレージに比べると大きく劣ります。
しかも、これは直付けですから増設も出来ません。
先に書いたWindowsのFeature Updateは最低でも20GBは食いますから、OS入れると後は何も入れられない仕様。
一応、SATAのM.2SSDが増設することは出来るのですが…。

このスペックで5万円です。
去年、私が購入したノートパソコンは、CPUがRyzen7の4コア8スレッドで、メモリーは8GB、ストレージは512GBのM.2SSDでNVMeと言うSATAよりは高速で転送できる代物。
そしてメモリーとストレージは増設できます。
これでアイリスオーヤマのPCを少し上回る値段でした。
数千円程度の違いでしかありません。

で、作っているメーカーは恵安。
同じメーカーの製品で少しスペック違いのものをドン・キホーテで売っているのですが、こちらは2万円切りです。
また、一昨年くらいに発売されたドスパラのノートパソコンがほぼ同じ仕様ですが、こちらは3万円切りです。
中国本土メーカー製のPCだとこれくらいの値段で密林などで販売されています。

こんな製品が何故今頃になって販売されているかと言えば、民需用ではなく恐らく官需用だと思われます。
文部科学省が推進しているGIGAスクール構想準拠PCの仕様はほぼこれと同じだからです。

マイクロソフトのページに具体的な仕様が書かれています。
小中学校向け標準パソコン仕様
高校向け標準パソコン仕様
補助金が4.5万円出るそうなので、それを少し上回るくらいの金額にしたのでしょうね。
つまり、中国製パソコンの仕入れ値が3万円として、4.5万円で売ったとしても、単純計算にして1.5万円の利益が出るわけです。
大抵の地方自治体は、国からの補助金が出るならば費用圧縮なんぞ考えず、随意契約で一括購入するでしょうから。

こうしたPCを使わされる生徒や管理する教員が可哀想です。
税金の無駄遣いの典型的な例ですね。
まぁ、他にもこう言う話は彼方此方に転がっているのですが、この政権と前政権では…。

その昔、国民車構想と言うのが有りました。
1955年、運輸省が主導して、「貧乏な日本国民にも手が届くような車を作れ、これを国民車とする」と言う事で仕様を公開したわけですが、トヨタを始めとする大手メーカーは異口同音に「こんなの作れない、絶対無理だ」と言って反対しました。

この仕様は、最高時速100km/h以上、定員4名または2名と積載量100kg以上、燃費は30km/㍑、大きなメンテ無しで10万㎞以上走れる、そして月産2,000台の場合で価格15万円以下、エンジンは360cc、重量400kg未満の車を作った会社に補助金を与えて試作車を作らせ、最終的に工場を構えるメーカー1社で大量生産すると言うもの。

メーカー側はどんなに頑張っても22~23万円以下にすることは無理であり、しかも、試作車は作れても量産が1社のみとなると旨味はないと言ったのです。

その仕様通りに作ったのが三菱500でしたが、実用性に重きを置きすぎたために売れず、トヨタはパブリカを作りましたが、これも簡素一本槍だったので当初は売れませんでした。
軽自動車の代名詞と言われるスバル360も、販売当初は42万円、量産が進んでもインフレとかがあって25万円までしか価格が下がっていません。

事ほど左様に、官の考える仕様と、実際に作ってみる仕様との乖離がでかい訳です。
ただ、今回の構想で救いようのないのが、国民車構想と違って、工夫の余地が全く無い点です。
10年先を見据えるならばもっとラジカルな考え方(例えば、モジュール形式にして部品を交換しやすくするとか、長期間利用出来る様にするとか)をすれば良いのに、何か既存製品で誤魔化そうとするからおかしな事になるのではないでしょうか。

この世の中、お友達だけを肥え太らせようとするからこんな歪な構想が出て来るのでは無いかな、と思います。
この辺、野党やマスコミももっと叩いても良い様な気がするのですがね。
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