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虎は死して皮を残す [日記]

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今日は在宅勤務。
そして、塗装工程の最終日でした。
雲行きが怪しかったのですが、何とか空は保ち、上塗りも終了。

気になっていたベランダ内側のひび割れも、全くひび割れがあったのかが判らないくらいで、奇麗になりました。
取り敢ずは数年後どうなっているか判りませんが…。
少し仕上げが粗いところもありましたが、まぁ良いでしょう。
ベランダの内側なんて、来客でも無い限り見ませんからね。

後は屋根をカバーすれば終わり。
とは言うものの、明日は雨模様みたいなので、土日掛けてやるような気がします。

さて、久々に現実逃避の軍艦話。
そう言えば、ギリシャの巡洋艦話が未だ残っていましたが、それは脇に置いておいて。

1945年9月2日と言えば、日本の降伏調印式で、マッカーサーが米国が誇る新鋭戦艦Missouriの艦上に、重光葵等を迎え、降伏文書にサインをさせた日です。
此の日から日本は米国を中心とした連合国の占領下に置かれ、以来7年を過ごすことになります。

ワシントン条約が失効する事になり、ロンドン条約の締結が難しくなると、各国は競って戦艦を建造し始めます。
米国と英国は条約の枠内での大きさで戦艦建造に着手したのですが、日本は端からそれを無視して戦艦を建造し始めました。

日本を仮想敵国として軍備を整備していた米国海軍もその動きを無視することが出来ず、North Carolina級をワシントン条約建艦休日中に設計したのですが、条約が継続することを前提に設計したため中途半端な性能に終わり、金剛(当初は米国海軍は金剛の代艦を建造すると睨んでいた)に対抗する為の大型かつ高速戦艦として建造をし始めたのがIowa級でした。

幅こそパナマ運河の制約を受けたのですが、金剛より大きな18インチの主砲を装備し、33kts/hで航行する巡洋戦艦的な戦艦としての位置づけでした。
その後、日本は金剛の代艦ではなく、より大きく強武装の戦艦を建造していることが明らかになりますが、Iowaの建造は続けられ、大和に対抗する戦艦は次のMontana級となった訳です。

とは言うものの、Iowaが起工されたのは1940年で、太平洋戦争前です。
残り3隻のNew Jersey、Missouri、Wisconsinも1941年1月6日迄の起工であり、直接太平洋戦争とは関係の無い時期の代物。
太平洋戦争で追加されたのは、残りの2隻、IllinoisとKentuckyでした。

しかし、既に戦艦という代物は主役の座を失っており、その後は飛行機が主役になっていき、空母が主力艦になっていきます。
慌てて建造を開始したとは言え、戦艦よりも駆逐艦や空母の方が有用であり、建造ペースは落とされ、Illinoisは1945年8月11日、日本の降伏直前に進捗率22%でキャンセルされてしまいました。
まだ船台上で建造をしていましたが、そのまま解体されたわけです。

一方のKentuckyはかなりの進捗率で、既に進水寸前まで進んでいました。
一旦建造が中止されましたが、その船体は解体するに忍びなかったので、この船体を生かした形で戦後の軍艦に相応しいものにしようとした訳です。

そして1940年代から50年代にかけて、幾度も設計変更が行われました。
最初は空母に、それから特に大きな船体を生かしての防空戦艦、或いは砲塔を取り去って、後半部を巡航ミサイルや艦対空ミサイルのランチャーや収容設備を備えたミサイル戦艦とか、はたまたポラリスミサイルの発射装置を搭載した戦略ミサイル搭載戦艦とかが検討され、1950年1月20日には進水まで進んだのですが、朝鮮戦争後の軍縮や戦艦の有用性に疑問符が付いたこともあり、結果的に延命のための設計変更は中止されました。
とは言うものの、Kentuckyの除籍はそれから更に8年経過した1958年だったりします。

余談ですが、1954年、衝突事故で船首部分を破損したWisconsinの修理にはKentuckyの船首部分が流用されています。

ところで、これらの戦艦は残念ながら船台上で解体されたわけですが、機関は既に発注され、完成していました。
1968年に低圧ボイラー破損を起こしたNew Jerseyにも、Kentuckyの機関が流用されました。

これらの機関については拾う神がありました。
機動部隊に随伴する補給艦も高速にしないと駄目なのではないかと言う構想があり、高速戦闘補給艦という艦種が作られました。
その1番艦と2番艦には、IowaやKentuckyで作られて放置されていた機関が流用されています。

これらの補給艦は、21世紀初頭まで使われていました。
戦艦として生を受けるはずだった機関が、それよりも遙かに長く、第一線で活躍したことになります。
そう言う意味では、機関だけは幸運だったのかも知れません。
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