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消えた土地 [日記]

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今日は流石に出勤。
ただ、やっぱり眩暈が続いていて、トラベルミンを服用して出掛けました。
御陰で、日中眠気が凄かったです。

そして帰ってきてから雨に降られました。
明日は土砂降りの中出勤しなければなりません。
ふぅ。

さて、掲題の話。
『大浪速諸人往来』と言う有明夏夫の小説に、『消えた土地』と言う短編があります。
ある日、元岡っ引きだった源蔵親方の縄張りの旅籠で頓死した男がいて、彼が死ぬ間際に「くそぉ」と叫んで、外にバラバラにした紙を放り投げます。
そこから、土地詐欺の話が露顕してと言う話になっていく訳ですが、その切っ掛けというのは地租改正で地籍を登録する必要があったからと言うもの。

元々、公図と言うものがあるのですが、これが明治時代に作成された測量図。
ただこの公図と言うもの、江戸期に作成された検地図を基に怪しい部分だけ再測量した程度のもので、かなり不正確であり、ずれが結構あります。

おまけに、年貢の取れ高を土地毎に検討して、縄延びなどのお目こぼしがあったり、税金に絡むとあって最初から面積を小さく申告するケースもあり、結果、公図に起こしてみると実際の土地の現況と異なり、面積の余った部分が余剰地となって、無主の土地となります。
それに目を付けた詐欺師が、公図上に掲載された架空の土地を田舎者に売りつけると言う事件が後を絶ちませんでした。

都会の真ん中に大きな土地を買ったつもりで、実際に売りつけられた人間が現地を見に行くとそんな土地は影も形も無いと言う訳。
それから150年経過しても、測量図の置き換えは遅々として進まず、そのうえ、届け出ないで親族間で土地を分割、売却するなどして、大きな土地が細分化されたりすると、その土地の権利者が何重にも居る、またはその土地の所有者が死んで親族がバラバラになったりすると誰の土地だか判らないと言うことになるそうです。

その土地を売却するにしても、権利者一人ひとりに了解を取らねばならず、その一人ひとりが何処にいるのか判らないケースもあるため、土地の売却に苦労する事も多いらしい。

こうしたズレを解消するために、現代の技術を用いて作成した地籍図と言うものが整備されなければならないのですが、中々地籍図は整備できておらず、まだ全体の3割程度くらいしか整備が進んでいません。
今、地籍図と公図の差で、1~10mずれている「大きなズレのある地域」と言われているのが全体の5割ほどあります。
10m以上の「極めて大きなズレのある地域」は2.5%と流石にこれは多くはないですが。

因みにうちの周りは「ズレのある地域」で、0.3~1m未満のずれが有るそうです。
これは全体の27.7%に当たるとか。
恐らく、端っこか空いている部分にしわ寄せが来ているのだろうなぁ。

来年4月から、こうしたズレや所有者が不明になるのを防ぐべく、相続登記の義務化が為されるのですが、私みたいに独り者が死んだら家はどうなるのかしら。

法定相続人としては、従兄弟になると思うのですが、正直、没交渉だから相続登記を行うかどうかは不明ですね。
今後、こうした土地が増えるのではないでしょうか。
幾ら国が旗を振ったとしても、相続人不明の土地は増える一方なのかも知れません。

まぁ此の家を買うときに地籍図とかは取って、余計な抵当権とかがないか、所有者が誰かというのはちゃんと登録した筈なので、今住んでいるところは大丈夫だと思うのですけどね。
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