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パン・アメリカン航空と日系二世スチュワーデス [読書]

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今日は歯医者。
昼前に予約を取ったので、リハビリに行ってから向おうと思っていたのですが、目が覚めると10時前で結局リハビリには行けず。
大体、リハビリと会計で1時間程度必要なので、朝食後、ちょっと休憩してから歯医者へ。

今日は冷たい雪が舞っていました。
幸い、積もってはいなかったので良かったですが。
それにしても、先年の大雪の際に懲りて購入した融雪剤がまだ手付かずの侭なのですが、これは変化とかしないものなのだろうか。

歯医者で待つ事暫し、仮詰めがやっと取れて、一応金属を入れました。
とは言え、今回は被せの金属を入れただけなので、噛み合せとかはこれからですし、親知らずの虫歯2本をどうするか相談しなければなりませんから、当面は歯医者さんとの付き合いが続きそうです。

で、帰ってから掃除機を掛けて、爪を切って、と。
あ、すっかり蛇口交換の電話を掛けるのを忘れてた。

さて、去年秋口くらいからチョロチョロ読み続けていた本。
『パン・アメリカン航空と日系二世スチュワーデス』(Christine R. Yano著/原書房刊)
原書房と言えば、軍事ものの書籍をよく扱っているイメージがあったので、てっきり歴史物の本かと思っていたのですが、全然違いました。

Pan-Americanと言えば、日本のある年代以上では大相撲千秋楽に何時も出て来る、「ひょーしょーじょー」のおじさんでお馴染みのエアラインです。
日本人が今ほど気軽に海外に出掛けられなかった当時の世界は、B.707やDC-8が翼を連ね、PAN-AMは世界一周便と言うものを運航していました。
この便に搭乗していたのが世界各国から採用されたスチュワーデス達です。

本書は、その中でも特に日系に焦点を当て、彼女の採用の経緯や育成の方法、そして実際の便ではどの様な役割を期待されていたのかと言うのを、PAN-AMの企業経営の視点、実際のスチュワーデス達の視点、その他の社員達の視点など様々な観点から見ているもので、歴史物と言うよりは学術論文集的なものになっています。

第2次世界大戦当時、日系人は敵性国人扱いされ、西海岸の日系人は収容所に入れられました。
そこで、彼等は米国への忠誠を誓うべく、兵隊を志願し、第442連隊を結成して欧州戦線で多くの犠牲を出しながらも活躍し、戦後の飛躍に繋げたのはご存知の通りです。

ハワイに於ける日系人が占める割合はかなりあったため、収容まで至りませんでしたが、肩身の狭い思いをしています。

一方、戦争の進展による労働力不足の補填として、女性の進出が奨励され、看護婦を始め軍需工場などでも働くようになります。
また、女性が持つ豊かなホスピタリティと言うイメージから、航空会社では第2次大戦末期から女性の採用が行われる様になりました。
但し、当時はまだ白人女性の世界。

これが転換するのは、1950年代半ばに日本航空が太平洋路線を開設してからです。
まだまだ幼児期であった日本航空でしたが、日本の経済成長と共に太平洋に於ける米国系航空会社の覇権に真っ向から対立するものと見做されました。
特に脅威に思ったのがそれまで太平洋路線をほぼ独占してきたPAN-AMで、自社便の旅客を守るため、ハワイをベースに日系二世を採用し、PAN-AMの考える最高の教育を施して、太平洋路線に配属しました。

それまで本土の有名企業に対する有色人種の採用など夢の又夢だった上に、世界を代表する企業であるPAN-AMのスチュワーデスへの登用というのは、正に日系人社会、特に若い女性にとっては一大事でした。

こうして採用された彼女達ですが、経営陣は日本人に対する欧米人のエキゾチシズム嗜好にも着目し、太平洋路線だけ配属するだけでなく、国際線の世界一周便にも搭乗させるようになりましたが、普通、世界一周便には複数の乗員が充当されるのに、日系人だけは1人しか充当されなかったそうです。

本書はPAN-AMの経営陣が日系二世に着目し、どうやって利用していったのか、一方ジェンダーの議論と共に当時の人種イメージから日系二世スチュワーデスがどんな役割を期待されていたのか、一方で彼女達はどうやってそうした期待に応えたのか、様々な軋轢に対してはどの様な抵抗をしたのかなどを、彼女達に取材を中心にしながら懇切丁寧に描いています。

ついでに、巻末の結語の部分、原註、そして余談ではありますが翻訳者(久美薫さん)のあとがきなどについても読み応えのある本でした。
7年前の本で積ん読状態になっていたのですが、読んでみたら意外に面白かったです。

パン・アメリカン航空と日系二世スチュワーデス

パン・アメリカン航空と日系二世スチュワーデス

  • 作者: クリスティン・R. ヤノ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2013/10/21
  • メディア: 単行本


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