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名古屋鉄道車両史下巻(戦後復興期から平成の終わりまで) [読書]

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それにしても、仕事が次から次へと湧いて出るのは何故なんだろう。
ここんとこ毎月25時間超えの残業で、先々月は40時間。
流石に身体が悲鳴を上げています。
また、病院に逆戻りすることになるのでは無いかと気が気ではありません。

さてここ最近、寝室で読んでいた本の紹介。

『名古屋鉄道車両史下巻(戦後復興期から平成の終わりまで)』(清水武・田中義人著・柚原誠監修/アルファベータブックス刊)
前回紹介の上巻に引き続き、戦後から現在に至るまで、名古屋鉄道で利用されていた車両の歴史を紐解いた本です。

先ずは敗戦後の混乱期から1955年までの10年間に導入された車輌群。
空襲で一部の車両が壊滅的な打撃を受けた名鉄のうち、岡崎市内線にはN電を購入して路線に投入し、国からは国鉄の63形の割当を受けました。
関東私鉄を中心として、この63形は各地で重宝されたのですが、名鉄にとってはその大きな車体が仇となり、短命に終わっています。
これに変えて、小型車を多数中小私鉄に放出しますが、この取引は分が悪かったようです。
最終的には、運輸省規格型と呼ばれた電車を増強して割り当ててもらい、これらの63形は小田急と東武に引き渡されました。

世の中が落ち着いてきたら、優等列車を中心にカルダン駆動の車両が各社で多く現れます。
名鉄でも、モノコック構造で全金属製車体を構え、全電動車とした5000系、それを量産仕様に変更し、冷房装置を搭載した5200系が現れました。
その後、これらの機器を流用した車体更新車両が順次登場しますが、最近廃車されたのは記憶に新しいところです。

更に新時代を拓くように、パノラマカーと呼ばれた7000系系統が登場します。
名鉄と言えば「パノラマカー」、「赤い電車」と言うイメージを形作った車両です。
これは経営陣の1人が欧州視察に行った際、イタリアの電車に感銘を受け、「うちにもこうした電車を走らせろ」と、運行サイドに捩じ込んだのが最初。
ただ、この成功体験は後に足枷となり、特に特急政策についてはかなりの混乱が発生して、この本でも歯に衣着せない論調で批判されています。
著者が名鉄OBの割には、経営陣の批判もこの本は多いです。

一方、こうした新型車とは別に、戦前からの木造車体の吊り掛け車も多く存在しています。
関西私鉄では南海を除けば、早くにこうした車両は淘汰されたのですが、関東私鉄やこの名鉄では、最近まで車体更新をしたとは言え、「うぉーん」と大きな音を出す吊り掛け車が存在していました。
瀬戸線や郡部線にはこうした車両が多く存在していましたが、中には車両不足のために、1975年になってもまだ東急から購入した吊り掛け車両があったりします。
本書では、この来歴を丹念に資料を追って纏めているので、かなり分かりやすくなっているように思えます。

この他、岐阜周辺の600V線区の車輌群や吊り掛け車を淘汰するために投入された新性能車、最近のセントレア開港やバブル時代に投入された特急車両など全ての車両を網羅しています。
また、電気鉄道を名乗っているにも拘わらず、高山や立山に乗り入れる為に製造された気動車急行(後の特急)、末端線区の経営改善の為に投入されたレールバスやLEカーについてもきちんと取り上げていますが、後者については、路線の実態を考えずにメーカーの宣伝文句に乗って導入した為に、かえって効率が悪くなった、と批判的な論調で書いています。

そんな感じではありますが、末尾の資料は上巻同様に充実しているので、1冊持っていても良い本では無いかと思いますね。

名古屋鉄道車両史 下巻(戦後復興期から平成の終わりまで)

名古屋鉄道車両史 下巻(戦後復興期から平成の終わりまで)

  • 出版社/メーカー: アルファベータブックス
  • 発売日: 2019/08/27
  • メディア: 大型本



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