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地域と繋がる大学 震災から何を学んだか [読書]

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緊急事態宣言が解除されて、来週から週3日出勤です。
今日の帰りは久々に1駅立ちました。
何だかんだ言っても、結局は元に戻るのでしょうかね。
まぁ、元の生活に戻るのが一番楽なんですけどね。

ここ最近、人の少ない電車の中で読んでいた本。
『地域と繋がる大学 震災から何を学んだか』(神戸学院大学編/中公新書ラクレ刊)
この大学は歴史は古いのですが、そんなに目立つ大学ではありませんでした。
神戸でも西の端っこにある大学で、私が若い頃は、「英語の頭文字は『KGU』、縮めれば『神大』なので、勘違いしたお嬢さんが引っかかる大学」と言われていたものです。
因みに、近畿では『神大』は言わずと知れた国立の神戸大学、『KGU』は坊ちゃまが多い関西学院大学の略になります。

このままならば、普通の駅弁大学的な存在なのですが、阪神淡路大震災を契機に大分変わりました。
元々、駅弁大学には珍しく、栄養学部と薬学部と言った理系学部と法学部、経済学部という文系学部が両立していた希有な大学だったのですが、ポートアイランドにキャンパスを開き、新たな学部を多数立ち上げていきます。
その結果、今では関西有数の学生数11,000を誇るマンモス大学になっているそうです。

そもそも大学と言うのは、義務教育ではないので学生の自主性が重んじられます。
とは言え、日本の大学は残念ながら能動的に動く学生は少なく、授業もゼミも受け身になることが多い様に思えます。
だからこそ、折角入っても、授業に付いていけないだとか、幻滅したとか、色々あって退学したり、授業に出なくなったりする学生も出て来る訳です。

この大学の場合は、元々授業で学際的な動きを奨励していましたし、地域との共生というのもテーマにしていましたが、震災が起きて、地域に根ざす大学はどうあるべきか、と考えた結果、災害と向き合う事を選択したわけで、一つの学部に囚われること無く視野を広げて問題に取り組む人材の育成に取り組んだと言えます。

最近の大学はよく判っていませんが、こうした動きをする大学も珍しいのかなと思ったり。
何より、象牙の塔に籠もること無く、能動的に外に出て実学を学ぶと言う姿勢に徹しているのが大学の活性化に繋がっているのかなと考えます。

地域の活性化については、これまでも何度も触れていますが、やはり若者、馬鹿者、他所者がいないと上手く回らないのでは無いでしょうか。
そのうちの他所者と若者の供給源として大学と言うのがあり、その地域の馬鹿者とコラボすることで新たな取組みが次から次へと生まれていくのかな、と思いますね。

その昔は大学のレジャーランド化が問題になっていたりしたのですが、今はそんなことをしている大学は淘汰されるのではないでしょうか。
地域を巻き込んで様々な取組みをしていく大学が、これからは生き残っていくような気がします。

そんな事を考えさせてくれる本でした。

地域と繋がる大学-震災から何を学んだか (中公新書ラクレ (683))

地域と繋がる大学-震災から何を学んだか (中公新書ラクレ (683))

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/03/17
  • メディア: 新書



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