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路線バスで日本縦断! [読書]

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今日は成田に再び行こうと思いましたが、流石に疲れが出たので起きられませんでした。
と言う事で、ペンライト用の充電池を買いにショッピングモールへ。
取り敢ず昭和橋に出て、来たバスに乗り込もうと思ったのですが、西川口行きが来てこれは見送り。
次の赤羽駅行きに乗り込みます。

赤羽には大規模ショッピングモールはありませんが、結構色々ありますからね。
西口のイトーヨーカ堂に行って、その中の電気屋さんでEVOLTAを購入。
単3電池も購入したのですが、余り意味が無かった。

ついでに、GUで冬用の飛行帽やらモコモコルームウェアを購入。
最近、冬用の寝間着がボロボロなのに気が付いたので。
それから本屋に寄ったのですが、結局何も買わずです。
密林で一通り読みたい本は揃っていますし、余り読みたい本がありませんでしたからね。

久々にイトーヨーカ堂のネコネコパン屋でパンを買って、バスに乗り込もうとしたらタッチの差で乗れず、赤羽駅東口に回ろうかと思ったら、信号が変わらずに諦めました。
でもって、西友に寄って家に戻って来ました。

さて、ここ数日、通勤電車で読んでいた本の紹介。
『路線バスで日本縦断! 乗り継ぎルート決定版』(宮武和多哉著/イカロス出版刊)。

ここ最近、バスの乗り継ぎ旅というのがテレビの企画番組で多く放送されています。
昔は、鉄道が縦横無尽に敷設できない為、鉄道駅からバス路線が網の目のように張り巡らされていたり、通勤電車を補完する為に、都市部でも中核都市から衛星都市行きのバスが設定されていたりしたのですが、バスの運転士は苛酷な勤務な割に実入りが少ないと言うのでなり手がいなくなり、また、自動車の普及や少子化により現金客、或いは固定客がいなくなって収益が見込めないと言う事で、各地の路線バスがどんどん廃止されています。

先日も大阪南部の路線バスが廃業するというので騒ぎになっていましたし、首都圏でも大幅な減便があると言うので話題になっていました。
当然、往来の少ない県境越えのバス路線は廃止されて、各地分断されています。

冗談抜きで、過疎地の交通網はズタズタになって、自動車を持って居ない人はそれこそ江戸時代に逆戻りしています。
徒歩で山越えをしないとバスにも乗れないと言うね。

地域交通の維持管理はそれこそ行政サービスの一つだと思いますが、「小さな政府」を指向している今の政権じゃ、とてもじゃないけどこんな地域交通のことなんか考えないのだろうなと思います。

で、この本は、北海道から沖縄まで、バスで行ったらどうなるかと言うのをシミュレーションしたものです。
交通系YouTuberの誰かが、この企画をガチでやってましたが、この本の作者は、実際にこの路線バスでの完全な乗り継ぎ旅はやっていません。
なので、シミュレーションとしか言い様が無い。

本にするのだったら、こんなタイトルを付けずに、ちゃんと実体験してから書けよと言いたいですね。
しかも、最短距離で動くのなら動く、或いは本数の多い路線を選ぶなら選ぶできちんと信念を持って行けば良いのに、途中で観光名所に寄りたいからとか何とか理由を付けて、わざわざ大回りルートを選んだり、本数の少ない路線を選んだりしていて、一貫性に欠けるのでは無いかと思いました。

まぁ、多分この人のネタが尽きたのだろうとは思いますが。
でも、ここからここに行くには、「バス会社のホームページを参考にするとこの路線とこの路線に乗り継げば行ける筈です」と書いていたりして、取材も何もしてないのであれば、それこそ、ジョルダンとかAIで作成すれば、最適解を出してくるのではないかと思ったりする。

実際に経験してみて、ここのバスはこれだけしか本数が無いからここで一日を費やすとか、そのためにはここに泊らないといけないとかそうした経験談があれば、ルポルタージュとして秀逸な作品になると思うのですが…。

しかも、本は半分で北海道の宗谷岬から沖縄の南西諸島最西端のバス停まで行っており、後は余談的にこんな路線でここまで行けます、みたいな埋め草記事が次々に出て来ます。

正直、途中で投げ捨ててやろうかと久々に思った本ですが、一応最後まで読み切りました。
久々にこんな思いに駆られましたね。
確かに、路線バスの環境は厳しくて、地域によっては全く路線がなくなった所も在りますが、そうした箇所をしっかり掘り下げれば、今の交通問題の提起にもなりますし、「半分で終わります」にはならなかったのでは無いでしょうか。

かなり読んでいて疲れた本でした。

路線バスで日本縦断!乗り継ぎルート決定版

路線バスで日本縦断!乗り継ぎルート決定版

  • 作者: 宮武和多哉
  • 出版社/メーカー: イカロス出版
  • 発売日: 2023/07/10
  • メディア: Kindle版



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コーヒーと日本人の文化誌 [読書]

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今日は在宅勤務。
そして、10時から17時までみっちり会議。
間、昼休み以外トイレに行くことも出来やしません。
出社してたら完全に死んでるところでした。

さて、そんなこんなで通勤の行き帰りで読んでいた本の紹介。
『コーヒーと日本人の文化誌 世界最高のコーヒーが生まれる場所』(メリー・ホワイト著/有泉芙実代訳/創元社刊)。

昨日、我が家のインスタントコーヒー事情を紹介したのですが、実はこれの枕に書こうと思ってたものです。
この本は、文化人類学の観点から、外国の飲み物であるコーヒーと日本人との係わりを書いた本です。
5年前に出版されたものの、直ぐに絶版になっており、このほど復刊したもの。
そして復刊に際しては、出版時から時間が経過しているので、新たな章を設けて、最近の事情を追加していますので、改訂新版としての扱いです。

日本ではスタバとかタリーズコーヒーとか色々な米国資本のコーヒーチェーンが進出しており、そこに入って、オリジナルのメニューを飲むのがお洒落でインスタ映えすると言う事で人気があるのですが、意外なのは、その源流というのは日本のコーヒーショップ、所謂「喫茶店」と呼ばれる店だったりします。

実際、ファッション業界の中心がフランスやイタリアであるが如く、日本のコーヒー業界と言うのが世界のコーヒー業界の中心と言っても過言では無い位、世界に影響を与えているのです。
ファッション業界の場合は、最終製品である服飾品にのみ視線が行きがちで、中間製品や原材料については余り焦点が当たらないのですが、コーヒーに関しては生豆の生産段階から熟成、焙煎、そして豆を挽いて粉にし、カップに注いで客に提供するまで、そのコーヒーを淹れるために使う道具類、更にその客が楽しむ空間まで、全ての段階で日本が世界の中心にいるのです。

勿論、豆の生産は栽培可能な地域が限られていますから、日本では余り(確か八丈島とか南西諸島くらい)生産が出来るものでは有りませんが、先日触れたイタリア料理が海外で発展し、自国に帰ってきたように、明治時代に日本から中南米に移民した人々がコーヒー農園を経営し、自社製品の市場を拡大するために母国でコーヒーを広めようとしたのがコーヒー文化が生まれた切っ掛けの一つでした。

ただ、日本人とコーヒーとの係わりはかなり古くて、江戸時代にオランダ経由で、特に蘭印で栽培されたコーヒーが日本に多く輸入され、幕末にはコーヒー豆を挽いたものを砂糖で包んだお菓子が日本国中に流通していたそうです。

そんな素地があったからか、コーヒーは忌避されること無く、コーヒーと言う飲み物は日本人に受容され、更にブラジルなどの中南米から移民たちが母国に安い価格(時には無料)でコーヒーを供給したが故に、コーヒーを飲むと言う習慣が日本人の間に定着し、茶店をモダナイズした喫茶店という営業形態の店がコーヒーを提供する為に誕生した訳です。

このコーヒーを提供する喫茶店というのは明治に誕生しましたが、最初は洋風文化の模倣から始まり、日本人の感性によりローカライズされて様々な枝葉に分かれていきます。
例えば、地域の人達の交流の場となる様な純喫茶とか、欧米のカフェの様に談論風発の政治活動家が多く居た店や芸術家が集うサロン的な店、コーヒーよりも酒を提供する風俗店に近いカフェ・バー、コーヒーを提供するだけで無く音楽を聴かせる付加価値を持つ音楽喫茶、聞くだけで無く自ら歌う歌声喫茶などなど、様々な業態に変化していきます。

このように著者は1963年の初来日以来、フィールドワークを通じて日本の喫茶店文化とその周囲のコーヒー文化を研究し、日本人とコーヒーとの係わりを描き出しています。
この研究は現在も続き、来日する都度、新しい喫茶店に入って新しい文化の誕生に触れているそうです。
正に飽くなき探究心の塊だなぁと思います。

それにしても、日本がコーヒーの中心になっているとは驚きましたし、そのコーヒーは江戸期から此の方、日本で親しまれていた飲み物だったとは夢想だにしませんでした。
意外に日本が世界に誇れる製品なのだなぁと、認識を新たにしましたね。

そろそろ、ちゃんとした喫茶店で美味しいコーヒーを飲みたくなりました。
そう言えば、鳩ヶ谷にはそうした喫茶店をあまり見ない気がしますね。
単に私の探究心が足りないだけかも知れませんが。

改訂新版 コーヒーと日本人の文化誌: 世界最高のコーヒーが生まれる場所

改訂新版 コーヒーと日本人の文化誌: 世界最高のコーヒーが生まれる場所

  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2023/08/22
  • メディア: 単行本


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国鉄時代の貨物列車を知ろう [読書]

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今日は在宅勤務。
御陰で、雨に降られることも無く、また電車の運転見合わせに遭遇することもありませんでした。
ついでに今日はフレックスで蒸けて、リハビリに行って来て土日は暇になったのですが、よくよく考えてみると来週土日は両日とも出勤になります。
そして、再来週土日は久々に遠征に出掛けるので、今週遠征に出なくてもと言う思いもあったりする。

しかも、残暑が厳しいし。
来週以降やっと涼しくなってきそうですけどね。
しかし、涼しくなると言う事は北風運用になるんだろうなぁ。

さて、ここ数日読んでいた本の紹介。
『国鉄時代の貨物列車を知ろう 昭和40年代の貨物輸送』(栗原景著/実業之日本社刊)
今年は日本の鉄道貨物輸送150周年と言う事でその類の本が色々と出ています。
本書もその1つですが、切り口は国鉄時代の貨物列車について。

鉄道関係の本だと主流は機関車とか百歩譲って貨車のメカニカルな視点ですが、こちらは貨物輸送の歴史に重点を置いた本です。
とは言え、150年の貨物輸送の歴史を漫然と綴ったわけでは無く、貨物輸送がピークを迎えた昭和30年代後半から日本の高度経済成長を終える昭和40年代後半までに主眼を置いています。

勿論、鉄道貨物輸送の歴史は長く、その前後の歴史も書かれていますが、新書判の本にいっぱい詰め込んでも仕方ないので、あくまでも国鉄の貨物輸送の栄枯盛衰を辿った感じになっています。

実際、貨物輸送の実情というのに余り詳しくなかったりするので、何故に鉄道貨物輸送が廃れたのかと言うのがイマイチピンと来ていませんでした。
まぁ子供の頃から旅客輸送メインの私鉄沿線で育った人間ですから、貨物列車にはそんなに思い入れが無かったわけで。
国鉄の最寄り駅も国電区間の駅だったため、旅客のみで貨物扱いが無かったし。

私が今まで思っていた貨物輸送と言うのは貨物駅で貨車に荷物を積んで、その貨車を連結して各地に運ぶと言うものでした。
(パソコンのゲームのイメージがそれですからね)

実際にこの本を読んでみると、種々雑多な貨車をつないだ鈍足の貨物列車が各駅で貨車の解結を行い、それらが近郊の貨物駅に集約され、そこで方面別に貨車の仕訳が行われて、やっと方面別の急行貨物列車が仕立てられ、次の拠点貨物駅まで輸送、そこでまた貨車の解結を行い、再び行き先別の鈍足貨物列車に仕立てられて、目的地の駅迄輸送されると言う事をしていたそうです。

貨物の増大も相俟って、昔の手法をずっと残したままで、膨大な人員と時間が食われ、送り出した貨物は何時目的地に届くか判らないと言う状況に陥っています。
その間に幹線道路網が整備され、戸口から戸口に文字通り輸送出来るトラックがいつ届くか判らない鉄道貨物に取って代わることになります。

それに対抗する為に採ったのが、新たな投資が必要となるコンテナ化では無く、既存の設備を流用したヤードの近代化という手法でした。
投資費用は抑えられるものの、トラック輸送に対抗すべき競争力は無く、かくして膨大な赤字を垂れ流す存在と化していきます。

昭和40年代に入って、遅れ馳せながら通運事業者とタッグを組んでのコンテナ輸送とトラック輸送を組合わせた近代的な輸送手段が取入れられましたが、ヤード近代化の莫大な投資が回収できず、コンテナ化で更なる投資が嵩み、その他の赤字で二進も三進も行かなくなっていきました。

他にも労使紛争や相次ぐ値上げによる客離れと言うのもあるし、親方日の丸の公共事業体である為に、民間会社のように選択と集中が出来なかったと言うのもあります。
国鉄の分割民営化は、様々な要因が重なっての出来事ですが、貨物部門の赤字も見逃すことが出来なかった訳です。

この本では最盛期の国鉄貨物の輸送実態を明らかにするとともに、それだけの規模を誇りながら、何故衰退していったのかと言うのを素人にも判りやすくきちんと解説してくれています。

また、こうした本では貨車を用いた大型貨物輸送に視点が向きがちですが、小口貨物輸送や荷物輸送、郵便輸送や専門貨物輸送、それらを運ぶ為の運賃体系と言ったニッチな部分にも目を向けていて、普段、我々が知らない世界を見せてくれたのも面白かったです。

勿論、車輌好きも入って行き易いように、巻末には機関車と代表的な貨車の解説も載っけていて、これ1冊あれば、国鉄時代の貨物輸送について理解出来る本になっているのでは無いかと思いますね。

国鉄時代の貨物列車を知ろう 昭和40年代の貨物輸送

国鉄時代の貨物列車を知ろう 昭和40年代の貨物輸送

  • 作者: 栗原 景
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2023/07/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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ヨーロッパ国際列車追跡乗車記 [読書]

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こうも毎日毎日35度超えが続くと、好い加減バテてきます。
毎日会社に行ってはいるのですが、2日目にしてバテてきました。
折角金曜は休みなのですが、猛暑日に近い気温の予報。
とてもじゃないけど出掛ける気力が起きません。
北の方に行こうと思っても、北の方もかなりの猛暑ですからね。

折角の3連休なのですが、まぁ9月は3連休が後1回あるし、土日潰れるとかもあるので(ぉ。
そんな撮影欲が薄れている今日この頃に、一服の清涼剤となる本の話題。

『ヨーロッパ国際列車追跡乗車記』(南正時著/天夢人刊)。
今は撮り鉄と言えばかなり肩身が狭いですが、プロの鉄道写真家は人々の中に上手く溶け込んで、人間を切り取りつつも鉄道を撮影すると言う工夫が凄く旨いなぁと思います。
この人も鉄道写真家の草分け的存在ですが、元々大塚康生さんと同じ職場にいて、その影響を受けて鉄道にのめり込んだらしい。

この人が異色なのは、通常の鉄道写真家は国内の鉄道を被写体にするのですが、当時は海外旅行が珍しかった時代に海外に出掛けて、欧州を中心とした鉄道を撮影していた事。

この写真を売り込んだ国内の鉄道雑誌からは総スカンを食らうのですが、偶々その写真を評価してくれた人がいて、新聞社系のグラフ誌(多分アサヒグラフだと思う)に海外の鉄道写真を掲載したところ、そこから思わぬ世界が拡がり、ドラえもんと共演したり、武田鉄矢主演の映画になったりと、売れっ子として活躍をしています。

この本は、その切っ掛けとなった欧州の特にTEEを中心にした作品群です。
今でこそ、時速200km以上で各国を結ぶ高速鉄道網が張り巡らされていますが、まだ技術が発展途上だった時期、大出力の気動車または電気機関車をプッシュプル式に連結して、フランスと西ドイツを中心にベネルクス3国、スイス、オーストリア、イタリア、スペインと言った西欧の津々浦々まで走っていた特急網がTEEです。

現在の高速鉄道網は、航空機に対抗する移動手段という趣で、旅情も糞もありませんが(そう言う意味では日本の新幹線も良い勝負)、当時は時間を掛けて移動すると言うのを是としていて、その時間をどれだけ有意義に過ごすかという事に重きを置いていました。
だから、食堂車の連結は当たり前でしたし、バーやブティックすら利用出来る車輌が運行されていましたし、夜行列車だと寝台車も連結されていました。

この本では、自身が撮影した各国のTEEを紹介しつつ、その車内設備や乗務員との対話、乗客との対話が聞こえるような写真を掲載しています。
今ではテロ対策で、乗務員との対話すら覚束無い(これもまた味気ない)のですが、当時は人々に余裕があったのか、様々な国々で、奇妙な東洋人とのコミュニケーションを楽しんでいたりするのが写真で伺えるようです。

当然、自身も多分若気の至りだと思いますが、食堂車では正装と言うドレスコードがあるとか言って、羽織袴でカメラに収まったりしています。
まだ日本人が彼方此方に出没していない時代、中国人との違いを見せるために色々と工夫していたのでは無いでしょうか。

車内風景や車窓だけで無く、勿論、この本は旅鉄ブックスの1冊ですからちゃんとした車輌の写真も掲載されています。
但し、現在と違って銀塩カメラですから撮影は一瞬、そして時間には限りが有るので、無念の涙を呑んで見送ったTEEもあった様です。

それでも、有名どころのTEEはちゃんと抑えていますし、時刻表なども掲載していて、1980年代初頭のまだ欧州旅行が非日常的だった時代の風景をちゃんと伝えているのはさすが写真家だなぁと思いましたね。
また、TEEだけで無く、欧州を走っていた国際列車も一通り抑えていますから、読み本としても面白かったです。

こんなに隆盛を誇ったTEEも、その後TGVやICEなどの高速列車に取って代わられていきますが、その終焉もちゃんと残しているのも良かったです。
大体こうした車輌の写真と言うのは、旬が過ぎれば見過ごされたりするものですから。

個人的には、子供の頃、図鑑とかで見ていた鉄道を写真でも見られたのが嬉しかったですね。

ヨーロッパ国際列車追跡乗車記 (旅鉄BOOKS069)

ヨーロッパ国際列車追跡乗車記 (旅鉄BOOKS069)

  • 作者: 南 正時
  • 出版社/メーカー: 天夢人
  • 発売日: 2023/07/19
  • メディア: 単行本


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北海道鉄道旅行写真帖 [読書]

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今日は二度寝して完全に寝坊。
とは言え、明日は午後から出勤して作業の立会いをする事になるので在宅。
運が良かったです。

ここ数日、寝ると2時間もしないうちに蒸し暑くて目が覚めて、クーラーを付けて寝て、今度は寒くて目が覚めて、クーラーを消して寝てと言う事をしているので、大分身体にダメージが来ている感じです。
だからか、勤務先の人達やその家族にコロナ感染が増えているように思います。

で、明日は出勤なので早めに終わってリハビリに出掛け、帰りにスーパーに寄って米を調達。
この暑さからか、全然人がおらず、私が最後の患者さんだったようです。

さて、先月の肺炎で臥せっていたときに読んでいた本の紹介。
『未来へつなぐ日本の記憶 昭和38年3月 北海道鉄道旅行写真帖』(写真:小川峯生、解説:牧野和人/フォトパブリッシング刊)。
前回は九州だったのですが、今回の舞台は北海道。

北海道と言えば、新入社員で初めて長期休暇が貰えたときに、初めて一人で東京に行き、東京からは寝台特急に乗って北海道へ向い、函館と小樽を観光した後、夜行急行で稚内に行って、雪の中宗谷岬に行って、再び昼行急行で札幌に戻り、特急に乗って根室に行き、納沙布岬で北方領土を眺めて夜行特急に乗って札幌に戻って、帰りは寝台特急に乗って大阪に帰った思い出が有ります。

よく書いてますが、この時、稚内で風邪をひいて熱を出していたのに旅行を強行して、帰ってから気管支炎になったと言う苦い思い出が有りました。

この本でも同じ様に、60年前の3月に弾丸で北海道の各地を撮影旅行した記録で、九州に撮影旅行した翌年に青函連絡船で北海道に上陸しています。
今と違って、北海道も又、津々浦々に鉄路が張り巡らされていた時代です。
国鉄は幹線だけで無く、炭鉱から伸びる支線や建主改従政策で建設された各地のローカル線が未だ生き延びていました。

とは言え、そろそろ自動車の攻勢が強くなり、エネルギー革命によって石炭がメインの動力源から落ちつつある時代。
ローカル線にも経営改革の声が出て、混合列車から客貨分離の実行、また気動車やレールバスの投入が始まりだした頃です。

丁度、時代の変わり目にこの写真たちは撮られました。
これより後だと、国鉄の赤字が酷くなって、何処に行っても所謂国鉄形と呼ばれるキハやディーゼル機関車が導入されて撮影風景が余り変わらなくなりましたし、炭坑鉄道はどんどん廃線となってしまったいたでしょう。

このため、貴重な写真が残されたと言えそうです。
勿論、弾丸旅行ですから、日程は限られていて、炭坑鉄道のめぼしい場所は訪問していましたが、道東を中心に張り巡らされていた簡易軌道の記録はありません。
もしかしたら、簡易軌道は眼中に無かったのかも知れませんが。

60年前の地方の息吹や繁栄していた炭坑町の光景、市街電車の行き交う背の低い町並なども切り取られていて、多分、60年後の現在の光景と比べると隔世の感があるのでしょうね。
今は原野と化して自然に帰っているような場所が、以前は人が溢れんばかりにいた街だったなんてのもありそうです。

編集には些か難がありますが(タイトルを挿入する場所がちょっと判りづらいし、キャプションが全然違ってあれという点がある)、写真を見る分には問題ないと思いますね。

昭和38年3月 北海道鉄道旅行写真帖 (未来へつなぐ日本の記憶)

昭和38年3月 北海道鉄道旅行写真帖 (未来へつなぐ日本の記憶)

  • 出版社/メーカー: フォト・パブリッシング
  • 発売日: 2023/06/26
  • メディア: 大型本



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バルト三国のキッチンから [読書]

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今日は体調崩してお休み。
月1回、こんな状態に陥ります。
どうも肺炎を患ってから体力が落ちた印象です。
声出しも大きな声とか高い声が出なくなっていますし、早く涼しくなってほしいなぁと思いますね。
と言ってたら、明日は37度らしいですが。

さて、ここ最近、通勤の行き帰りに読んでいた本の話。
そう言えば、浦和レッズの嘘がまたバレたようですね。
幾ら暴力が無いと糊塗したって、映像が残っていれば暴力があったことは明白なのに、なんでそこで嘘をつくかなぁと。

スポーツ、特にJリーグと言う理念を理解していないと言われても仕方ありません。
明日は暴動が起きないことを祈るばかりです。
果して、どんな裁定が下るのでしょうかね。
これで激甘な裁定だったら、もうJリーグは完全にオワコンだと思いますけどね。

さて、それはさておき本の話。
『バルト三国のキッチンから』(佐々木敬子著/産業編集センター刊)
バルト三国と言えば、バルト海に面した旧ソ連の国々で、日本では杉原千畝の『命のビザ』で有名ですが、元々は独立国だし、リトアニアのようにロシアをも飲み込んでいた時代もあった訳で、ロシアに不当に占領された国々でした。

それがソ連崩壊とともに独立を果たしたのですが、ウクライナ情勢もあって、ロシアと国境を接しているこれらの国々は情勢が不安定です。
今ではNATOに参画しているので、欧州各国が共同で防衛にあたっている為、ロシアからはおいそれと手が出せない形ではありますが。

そんな緊迫した状態の話では無く、単にこの本ではリトアニア、ラトヴィア、エストニアの各国の旅先で出会った人達のキッチンに入り込んで、料理を頂くと言うものになっています。
勿論、キッチンだけで無く、専門のレストランとか食品会社の調理場を訪れたりもしていて、ちょっとした旅行気分で読める本です。

日本との関係は昔の杉原千畝だけで無く、身近にはサークルKサンクスのホットドッグやパイシートの生地がリトアニアで作られて輸入されたものが多かったりします。
冷凍パンの工場がリトアニアにあって、そこで作られたものが世界中に輸出されているそうな。

こうした食の蘊蓄も混ぜつつ、バルト三国の様々な地域の料理を紹介している本です。
以前、『イタリア料理の誕生』でも書きましたが、1つの国でも地域によって様々な文化があり、料理があるというのを、この本では地で行っています。

勿論、国全体で食べられている料理もありますが、それも各地域によってレシピが微妙に異なります。
一方で、都市部のアパートメントでの調理は仕方ないですが、大抵の家庭は戸建てです。
なので、少なからず庭があり、そこでは必ずハーブや野菜が育てられていて、この本では季節は冬では無く夏に訪れた記録だからか、調理の最中に、「ちょっと外のあれを採ってきて」料理に加えると言う事をよくしているのが印象的でした。

日本だと農家とかにありがちな話ですが、普通の家庭でこんなのが通常に行われているのを見ていると、つくづく生活に余裕があるなぁと思ってしまいます。
まぁ、日本の家と比べるのが間違いですが。

各国の章の最後には、それぞれのお国料理のレシピが掲載されています。
勿論、日本で手に入れられるような材料が無い場合もありますが、そこはインターネットの世界で補足してねと言う感じなのでしょうか。
当然、日本人の味覚に合わない場合もあるでしょうから、その辺はさじ加減なのかなと思います。

バルト三国のキッチンから

バルト三国のキッチンから

  • 作者: 佐々木 敬子
  • 出版社/メーカー: 産業編集センター
  • 発売日: 2023/06/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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九州鉄道旅行写真帖 [読書]

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今朝、出掛ける時には空が保っていたのに、会社に着く直前200mで土砂降りに降られ、慌てて折り畳み傘を拡げていったのですが、会社に着いたら先程の雨は何処へやら。
今日はこんな感じの天気でした。

こんな日こそ在宅で仕事したかったのですが、最近は中々在宅勤務が出来ません。
揺り戻しが来てるらしいし。
でも、座った席の前とか隣とかでマスク無しでゴホゴホしている人が怖くて、マスクを中々手放せません。
流石に先月肺炎で寝込んでいたので、マスクを外すのに勇気が要ります。

今日、ニュースを見ていたら、東海道新幹線での車内販売を中止するという記事が出ていました。
車内販売の売り子さんの確保とか色々理由は挙げられていましたが、車内販売のような非日常的な場面があるから少し高くても新幹線に乗ろうかと思うわけであって、極端な話、サービスが無くなったのであれば、一体、新幹線の特急券と言うのは何のために存在するのかと言う考えに至るのでは無いかなぁと。

場合に依っては飛行機の方が安い昨今、新幹線ももっと運賃を下げられるのではないかなんて思ってしまいます。

てな訳で、今回は肺炎で寝込んでいたときに寝室で読んでいた本の紹介。

『未来へつなぐ日本の記憶 昭和37年3月 九州鉄道旅行写真帖』(写真:小川峯生、解説:牧野和人/フォトパブリッシング刊)。

私が電車に乗って遠出した記憶ってそれこそ殆ど無くて、県内が精々、行っても大阪、和歌山、奈良、京都までで、畿内を出たことは無かったです。
小学生の頃、親が単身赴任していた関係で、東京に初めて行ったのが大旅行の最初。
一人旅では中学の頃に経験した親戚の家があった名古屋くらいかなぁと。

新幹線が通っている時代ですらそんな感じですから、九州や北海道なんて遙か遠くの海外か!くらいの立ち位置です。
昭和37年と言えば、1960年代初頭でまだ東海道新幹線ですら走っていなかった時代。
ただ、今と違って安く旅をする方法はいっぱい有りました。
特に鉄道は、特急こそ庶民にとっては高嶺の花だったのですが、それを補うかのように長距離を走る急行や準急が縦横無尽に走っていました。

学生だと懐は温かくは無いけれど、時間はいっぱい有る。
学割で周遊券を購入すれば、急行や準急の自由席は乗り放題な訳で、学生は見聞のために彼方此方出掛けていました。

撮り鉄にとっても、カメラ片手に各地に撮影旅行に勤しんでいます。
駅前旅館とかに泊ったり、場合に依っては駅寝をしたり、夜行列車で移動したりして宿賃を浮かせたりしたのでは無いでしょうか。

当時は、日本全国津々浦々に鉄道が張り巡らされているので、被写体は無数にありました。
この本は、昭和37年3月の数日間で九州全土を隈無く回った撮り鉄の撮影記録です。
今のデジイチと違って、当時はフィルムですから撮影に一瞬たりとも気が抜けませんし、カラーなんておいそれと現像できるものでは無いですから(当時はハワイまで送らないとカラー写真のまともな現像設備が無かった)、白黒写真が主流。

しかし、蒸気機関車や客車列車が主流だと、モノクロでもそんなに支障が無かったのかなぁとか。
鉄道車輌の写真がメインですが、形式写真的なものばかりでは無く、当時の世相や建築物、風俗なんかも一緒に切り取られていて、まだ発展途上国に毛の生えた存在だった日本と言う国を上手く写している作品になっています。

撮影対象も国鉄線が中心ですが、松浦線、佐世保線、白ノ浦線、世知原線、柚木線、肥薩線、志布志線と言った今は第三セクターになっていたり、廃線になっていたりする路線も収録されていますし、西鉄の福岡市内線、北九州線や、熊延鉄道、南薩鉄道、若松市交通局、大分交通と言う今は亡き私鉄路線も被写体になっています。
当時を知る人は懐かしいでしょうし、知らない人でもこんな場所にこんな鉄道があったと言う知識を得ることが出来るかなと。

まぁ、今の撮り鉄からすれば、同じ被写体ばかりじゃねえかと文句を付けるかも知れませんけどね。

惜しむらくは、編集がイマイチで、路線が少し分かり難い、路線のタイトルに簡単な路線地図とかがあれば良かったのに、とか思ったり、写真とキャプションが完全に入れ違っている箇所があるので、よく読まないと「?」になってしまう部分が出て来てしまっている点でしょうか。

日本が高度経済成長に向かい、効率化の名の下、様々なものを捨て去っていく直前の残照のような時代を上手く切り取った作品では無いかなぁと思いました。

昭和37年3月 九州鉄道旅行写真帖 (未来へつなぐ日本の記憶)

昭和37年3月 九州鉄道旅行写真帖 (未来へつなぐ日本の記憶)

  • 出版社/メーカー: フォト・パブリッシング
  • 発売日: 2023/07/24
  • メディア: 大型本



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懐かしの湘南顔電車 [読書]

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今日は休日作業で、在宅勤務。
朝から数値こねくり回しでした。
とは言え、この気温。
仕事をしているとジリジリと気温が上がり、集中力が落ちて段々と作業効率が落ちていくのが判ります。
流石に14時過ぎからは耐えきれなくなり、梅仕様のクーラーでは余り効率的に冷えず、丁度切りが良かったのでギブアップ。
15時からはグロッキーで寝てました。

そんな訳で、ここ数日、通勤の行き帰りに読んでいた本の紹介。
『懐かしの湘南顔電車 一時代を築いた電車たちの顔』(「旅と鉄道」編集部編/天夢人刊)
1950年代、今までの蒸気機関車牽引の列車の代わりに、電車は短距離しか運行できないという概念を破って東海道線に登場した80系電車を祖とするスタイルをした車輌の一覧です。

元々、80系電車の1次車はスタイルに余り拘りが無く、半流線型の前面に3枚窓というスタイルで登場しました。
ところが、初期車では故障が頻発し、絶縁不良でスパークしたパンタグラフから出火して、乗客多数が閉じ込められて焼死すると言う大事故を起こしてしまいます。

なので、同じスタイルで登場するのはイメージが悪いと、桜木町事故の影響で、63系電車が73系と改称されたと同じく、80系は側面スタイルはそのままに、前面は当時の飛行機や自動車をイメージさせる後退角を付け、2枚窓で腰部に標識灯、頂部にヘッドライトを配置するスタイルにして、イメージを一新。
これに消費者はコロッと騙され(苦笑)、中身は初期車と変わらないのですが、人気の車輌として東海道線に君臨しました。

長編成の長距離電車と言うジャンルを確立した80系は線区に合わせた改造を受けつつ全国に広がって行き、そのスタイルの格好良さが万人受けして、首都圏を始めとする大手鉄道会社はもとより、中小企業や路面電車運航会社などにも波及していった訳です。

本書では、国鉄の湘南系電車から、それが電気機関車やディーゼル機関車、気動車に波及していった過程や、国鉄の影響を受けた西武鉄道、京王電鉄などの大手私鉄、それらの車輌が譲受されて第二の人生を歩んだ中小私鉄各社の車輌の紹介と、未だに現役である銚子電鉄の2000系の紹介などを交えて、湘南顔の系譜を描いています。

勿論、この「湘南顔」と言う定義ははっきりしませんので、それは「旅と鉄道」編集部の独断と偏見に依るのかも知れませんが。(例えば、阪神の最初の赤胴車や青胴車は明確な湘南顔なんですが、期間が短いからか取り上げられていません…京成が取り上げられているのに)
まぁ、大体の車輌は網羅されているのではないかと思います。

願わくば、こうしたデザインの誕生の経緯なんかも掘り下げて取り上げてほしかったなぁと思いましたが、それはハードルが高いかもしれないですね。
(「旅と鉄道」自体の歴史もそんなに長くは無いから…寧ろこの辺は鉄道ピクトリアル辺りが得意とする分野か)

写真も適度に鏤められていて、軽く読む本としては適当なのかなと思います。

懐かしの湘南顔電車 (旅鉄BOOKS063)

懐かしの湘南顔電車 (旅鉄BOOKS063)

  • 出版社/メーカー: 天夢人
  • 発売日: 2023/01/16
  • メディア: 単行本



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幻の麺料理 [読書]

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会社での座席は一応フリーアドレスもどきなのですが、そんな事をすると座れない人が出るので、実際には固定されています。
私の席は窓際にあります…窓際族って言わないで(笑。
しかし、真上に冷風の吹き出し口があって、冷たい風がどんどん吹き付ける訳で。
御陰で寒暖の差が大きな時には、モロに影響を食らいます。

と言う事で、余程のことがない限り休もうかと思ったのですが、残念ながらどうしても外せない会議が2件あり、かと言って家を出たくないので、1ヶ月以上ぶりの在宅勤務でした。

で、17時には終えてリハビリに出掛けます。
土曜日は行く暇が無いので、取り敢ず今日行くことにした訳で。
失敗したのは、来週も仕事で土曜日が潰れるので、リハビリに行けない為、薬を貰って帰れば良かったと。
来週金曜にまた在宅して行ってこようかな。

時に福岡。
さっき見てみたら、土曜日は本降りの雨、日曜は深夜に大雨が降る予想。
でも、午後からは雨が上がるとか…そんな時に限って夕方の飛行機をキャンセルして、昼間に変更した訳で。
これで晴れたら泣くしかありません。

さて、今日は久々に在宅勤務でしたが、急遽決めたので昼ご飯がありません。
で、賞味期限が既に切れていた、先月買った即席パスタを作りました。
フライパンに油を引いて、麺を炒めて少量の水で蒸して、明太子ソースを絡め、皿に盛って海苔を振りかけて食します。

今回は、こうした洋風、或いは中華風の麺料理は日本で何時から始まったのかと言うのを解説した本である『幻の麺料理 再現100品』(魚柄仁之助著/青弓社刊)の紹介。

ラーメンを日本で一番最初に食べたのは、記録上では水戸黄門こと徳川光圀だと言う事になっています。
この本では、そんな歴史上の出来事は扨措いて、広く庶民に洋風や中華風の麺が拡がったのは何時からか、どの様に始まったのかと言うのを、今は日本の国民食と言っても良い、カレーうどん、和風スパゲッティ、マカロニ、ラーメンにソース焼きそばを題材に描いた本となります。

この人の手法は何時もの様に、雑誌の蒐集から始まります。
特に婦人雑誌には料理レシピがくっついてくるので、そうした婦人雑誌に収録された料理レシピに着目して、上記の麺類がいつ頃から登場し、どの様な進化の系譜を辿ったのかを探していきます。

そしてチョイスしたレシピを基に、実際にキッチンで作ってみて、実食してみるというスタンスを取っています。
そう言う意味では、歴史書を紐解くだけでは無くかなり実践的な手法です。

当然のことながら、現代人とそれ以前の世代の人とでは、味覚なんかも違う訳ですが、実際に作って食べてみるという過程を経ることで、料理レシピとして雑誌に掲載されたものの、それが単なる徒花とか埋め草記事的なレシピなのかを自分の舌で実際に判断することが出来る訳です。

これらの料理の中では、カレーうどんに最も紙幅を割いているのですが、パスタやラーメンの様な麺類の原型が日本の場合はうどん(蕎麦では無いのが何故だろうと言うのはあるのですが、原材料としては小麦由来なのですからそれが自然なんだろうなと)で、うどんを洋風、或いは中華風にアレンジしていく過程で、カレーみたいなものと合体させてみた、そのカレーも、通常のカレーライスのカレーでは無く、鰹節を効かせた和風出汁の所謂そば屋、或いはうどん屋のカレーとして昇華されていきます。

また、鹹水を使う以外は原料が同じと言う側面から、うどん屋で中華麺が打たれ始め、ラーメンが供されていくと言うのもなるほどな、と思いました。
ただ、ラーメンの手打ちは専門店でも麺屋に頼るようになり、スープも即席スープ(粉末スープでは無く、「醤」の様な半生のもの)が方々の零細工場で製造されて、麺とスープが一般に販売されて、庶民の味になっていく過程も興味深かったです。

そうしたラーメンを焼きそばに変形させて、所謂屋台の焼きそばであるソース焼きそばに発展したり、洋風麺としてうどんを使っていたパスタが段々とスパゲッティに変化していく過程も面白かった。

ラーメンについては麺とスープにそれぞれ地域性もあるから(札幌の味噌、函館の塩、東京の醤油、博多の豚骨などなど)、これを掘り下げると更に真に迫れる気がします。
そう言う意味ではラーメンだけを取り上げた本も見たいなぁとか思ったり。

青弓社から出ているこの人の著書シリーズは、いずれも実践的な手法で食文化を紐解くと言う形態で独自の視点を築いているし、時たま出て来る毒舌も魅力で、つい買ってしまいます。
勿論、面白いから買ってしまうのですがね。

幻の麺料理: 再現100品

幻の麺料理: 再現100品

  • 作者: 魚柄 仁之助
  • 出版社/メーカー: 青弓社
  • 発売日: 2023/03/27
  • メディア: 単行本



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終着駅からバスの旅 [読書]

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今日は梅雨寒。
そんな日に限って、冷蔵庫まで出張って、仕事の見積です。
何回かお願いしている業者に見積をお願いしたのですが、今まで出て来ていた人が今回は一歩引いて、今回は若手2人が中心になって見積を進めていました。

そう言う意味では、この会社の世代交代は進んでいるなぁと傍目から見ても思いましたね。
翻って当社はどうなんだろう…。

さて、ここ数日通勤で読んでいた本の紹介。
この前にも同じ様なバスの本を読んでいたのですが、今回もバス旅の本。
『終着駅からバスの旅』(加藤佳一著/山と溪谷社販売)

『+BUS』と言うシリーズで発売されているバス旅の本になります。
文字通り、終着駅の先にあるバス路線を旅して、地元グルメに舌鼓を打ったり、観光スポットを巡ったりと言うのを写真と文章で紹介している本になります。
前回紹介した本と異なるのは、ちゃんとバスの時刻が書いてあること。
勿論、バスの時刻は年1回変わるので、掲載時点でのバスの時刻でしかないのですが、田舎のバスともなれば、会社の廃業とかで無い限り、余り変わり映えしませんから、旅をするに当たってそれなりに有力な情報になるのでは無かろうかと。

またグルメや観光スポットについても、ちゃんと値段とかが写真付きで紹介されているので、どんな食べものなのか、或いはどんな特色の有る観光スポットなのかと言うのが良く判ります。

場所は北海道の稚内から九州の志布志まで、沖縄は取り上げられていません。
一応、モノレールも鉄道ではありますが、沖縄はそれだけで1冊の本に出来ますから、敢えて避けたのではないかと思ったりする。

稚内だと宗谷岬、根室だと納沙布岬と言った有名観光スポットから、能勢電鉄の妙見口から行くバス旅とか、神鉄の有馬温泉駅から行くバス旅など、マイナーなスポットまで各種取揃えています。
個人的には阿佐海岸鉄道の甲浦から高知方面に抜ける旅に興味が湧きました。

昔、私鉄の乗り潰しをしていた時分に、阿佐海岸鉄道に乗ったことがあって、「甲浦まで行けたら高知まで近いんじゃね?」と軽く考え、大雨の中、高知方面に向けて歩き出したものの、かなり歩いても目的地に到着出来ず、結局涙を呑んで引返したことがありましたからね。

バスは当時もあったのですが、見つけられなかったか、時間が合わなかったかのどちらかだった記憶があります。

取り上げられているのはローカル線の終着駅からのバス旅が多く、都心の終着駅からのバス旅は余り掲載されていません。
ただ、都内でも味のある終着駅があり、そこから延びる路線バスに乗るのも風情があります。

こちらも白黒ページですが1章を割いて取り上げられていて、近場でバス旅をしようと言う人には穴場路線がそれなりに掲載されていたりします。
ただ、見沼代親水公園からのバス旅は残念ながら、川口の循環バスが意図的にかも知れませんが、無視されていたような気がしたのですが(都内限定だからかしら)。

バスをしたいなぁと言う人にとっては入門書的な書籍だと思いますし、観光目線に立った記述も多いのでお勧めではないでしょうか。

終着駅からバスの旅 (プラスBUS004)

終着駅からバスの旅 (プラスBUS004)

  • 作者: 加藤佳一
  • 出版社/メーカー: 天夢人
  • 発売日: 2023/02/20
  • メディア: 単行本


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