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幻の麺料理 [読書]

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会社での座席は一応フリーアドレスもどきなのですが、そんな事をすると座れない人が出るので、実際には固定されています。
私の席は窓際にあります…窓際族って言わないで(笑。
しかし、真上に冷風の吹き出し口があって、冷たい風がどんどん吹き付ける訳で。
御陰で寒暖の差が大きな時には、モロに影響を食らいます。

と言う事で、余程のことがない限り休もうかと思ったのですが、残念ながらどうしても外せない会議が2件あり、かと言って家を出たくないので、1ヶ月以上ぶりの在宅勤務でした。

で、17時には終えてリハビリに出掛けます。
土曜日は行く暇が無いので、取り敢ず今日行くことにした訳で。
失敗したのは、来週も仕事で土曜日が潰れるので、リハビリに行けない為、薬を貰って帰れば良かったと。
来週金曜にまた在宅して行ってこようかな。

時に福岡。
さっき見てみたら、土曜日は本降りの雨、日曜は深夜に大雨が降る予想。
でも、午後からは雨が上がるとか…そんな時に限って夕方の飛行機をキャンセルして、昼間に変更した訳で。
これで晴れたら泣くしかありません。

さて、今日は久々に在宅勤務でしたが、急遽決めたので昼ご飯がありません。
で、賞味期限が既に切れていた、先月買った即席パスタを作りました。
フライパンに油を引いて、麺を炒めて少量の水で蒸して、明太子ソースを絡め、皿に盛って海苔を振りかけて食します。

今回は、こうした洋風、或いは中華風の麺料理は日本で何時から始まったのかと言うのを解説した本である『幻の麺料理 再現100品』(魚柄仁之助著/青弓社刊)の紹介。

ラーメンを日本で一番最初に食べたのは、記録上では水戸黄門こと徳川光圀だと言う事になっています。
この本では、そんな歴史上の出来事は扨措いて、広く庶民に洋風や中華風の麺が拡がったのは何時からか、どの様に始まったのかと言うのを、今は日本の国民食と言っても良い、カレーうどん、和風スパゲッティ、マカロニ、ラーメンにソース焼きそばを題材に描いた本となります。

この人の手法は何時もの様に、雑誌の蒐集から始まります。
特に婦人雑誌には料理レシピがくっついてくるので、そうした婦人雑誌に収録された料理レシピに着目して、上記の麺類がいつ頃から登場し、どの様な進化の系譜を辿ったのかを探していきます。

そしてチョイスしたレシピを基に、実際にキッチンで作ってみて、実食してみるというスタンスを取っています。
そう言う意味では、歴史書を紐解くだけでは無くかなり実践的な手法です。

当然のことながら、現代人とそれ以前の世代の人とでは、味覚なんかも違う訳ですが、実際に作って食べてみるという過程を経ることで、料理レシピとして雑誌に掲載されたものの、それが単なる徒花とか埋め草記事的なレシピなのかを自分の舌で実際に判断することが出来る訳です。

これらの料理の中では、カレーうどんに最も紙幅を割いているのですが、パスタやラーメンの様な麺類の原型が日本の場合はうどん(蕎麦では無いのが何故だろうと言うのはあるのですが、原材料としては小麦由来なのですからそれが自然なんだろうなと)で、うどんを洋風、或いは中華風にアレンジしていく過程で、カレーみたいなものと合体させてみた、そのカレーも、通常のカレーライスのカレーでは無く、鰹節を効かせた和風出汁の所謂そば屋、或いはうどん屋のカレーとして昇華されていきます。

また、鹹水を使う以外は原料が同じと言う側面から、うどん屋で中華麺が打たれ始め、ラーメンが供されていくと言うのもなるほどな、と思いました。
ただ、ラーメンの手打ちは専門店でも麺屋に頼るようになり、スープも即席スープ(粉末スープでは無く、「醤」の様な半生のもの)が方々の零細工場で製造されて、麺とスープが一般に販売されて、庶民の味になっていく過程も興味深かったです。

そうしたラーメンを焼きそばに変形させて、所謂屋台の焼きそばであるソース焼きそばに発展したり、洋風麺としてうどんを使っていたパスタが段々とスパゲッティに変化していく過程も面白かった。

ラーメンについては麺とスープにそれぞれ地域性もあるから(札幌の味噌、函館の塩、東京の醤油、博多の豚骨などなど)、これを掘り下げると更に真に迫れる気がします。
そう言う意味ではラーメンだけを取り上げた本も見たいなぁとか思ったり。

青弓社から出ているこの人の著書シリーズは、いずれも実践的な手法で食文化を紐解くと言う形態で独自の視点を築いているし、時たま出て来る毒舌も魅力で、つい買ってしまいます。
勿論、面白いから買ってしまうのですがね。

幻の麺料理: 再現100品

幻の麺料理: 再現100品

  • 作者: 魚柄 仁之助
  • 出版社/メーカー: 青弓社
  • 発売日: 2023/03/27
  • メディア: 単行本



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