SSブログ

九州鉄道旅行写真帖 [読書]

JCG-EC225LP_689A_0008.jpg

今朝、出掛ける時には空が保っていたのに、会社に着く直前200mで土砂降りに降られ、慌てて折り畳み傘を拡げていったのですが、会社に着いたら先程の雨は何処へやら。
今日はこんな感じの天気でした。

こんな日こそ在宅で仕事したかったのですが、最近は中々在宅勤務が出来ません。
揺り戻しが来てるらしいし。
でも、座った席の前とか隣とかでマスク無しでゴホゴホしている人が怖くて、マスクを中々手放せません。
流石に先月肺炎で寝込んでいたので、マスクを外すのに勇気が要ります。

今日、ニュースを見ていたら、東海道新幹線での車内販売を中止するという記事が出ていました。
車内販売の売り子さんの確保とか色々理由は挙げられていましたが、車内販売のような非日常的な場面があるから少し高くても新幹線に乗ろうかと思うわけであって、極端な話、サービスが無くなったのであれば、一体、新幹線の特急券と言うのは何のために存在するのかと言う考えに至るのでは無いかなぁと。

場合に依っては飛行機の方が安い昨今、新幹線ももっと運賃を下げられるのではないかなんて思ってしまいます。

てな訳で、今回は肺炎で寝込んでいたときに寝室で読んでいた本の紹介。

『未来へつなぐ日本の記憶 昭和37年3月 九州鉄道旅行写真帖』(写真:小川峯生、解説:牧野和人/フォトパブリッシング刊)。

私が電車に乗って遠出した記憶ってそれこそ殆ど無くて、県内が精々、行っても大阪、和歌山、奈良、京都までで、畿内を出たことは無かったです。
小学生の頃、親が単身赴任していた関係で、東京に初めて行ったのが大旅行の最初。
一人旅では中学の頃に経験した親戚の家があった名古屋くらいかなぁと。

新幹線が通っている時代ですらそんな感じですから、九州や北海道なんて遙か遠くの海外か!くらいの立ち位置です。
昭和37年と言えば、1960年代初頭でまだ東海道新幹線ですら走っていなかった時代。
ただ、今と違って安く旅をする方法はいっぱい有りました。
特に鉄道は、特急こそ庶民にとっては高嶺の花だったのですが、それを補うかのように長距離を走る急行や準急が縦横無尽に走っていました。

学生だと懐は温かくは無いけれど、時間はいっぱい有る。
学割で周遊券を購入すれば、急行や準急の自由席は乗り放題な訳で、学生は見聞のために彼方此方出掛けていました。

撮り鉄にとっても、カメラ片手に各地に撮影旅行に勤しんでいます。
駅前旅館とかに泊ったり、場合に依っては駅寝をしたり、夜行列車で移動したりして宿賃を浮かせたりしたのでは無いでしょうか。

当時は、日本全国津々浦々に鉄道が張り巡らされているので、被写体は無数にありました。
この本は、昭和37年3月の数日間で九州全土を隈無く回った撮り鉄の撮影記録です。
今のデジイチと違って、当時はフィルムですから撮影に一瞬たりとも気が抜けませんし、カラーなんておいそれと現像できるものでは無いですから(当時はハワイまで送らないとカラー写真のまともな現像設備が無かった)、白黒写真が主流。

しかし、蒸気機関車や客車列車が主流だと、モノクロでもそんなに支障が無かったのかなぁとか。
鉄道車輌の写真がメインですが、形式写真的なものばかりでは無く、当時の世相や建築物、風俗なんかも一緒に切り取られていて、まだ発展途上国に毛の生えた存在だった日本と言う国を上手く写している作品になっています。

撮影対象も国鉄線が中心ですが、松浦線、佐世保線、白ノ浦線、世知原線、柚木線、肥薩線、志布志線と言った今は第三セクターになっていたり、廃線になっていたりする路線も収録されていますし、西鉄の福岡市内線、北九州線や、熊延鉄道、南薩鉄道、若松市交通局、大分交通と言う今は亡き私鉄路線も被写体になっています。
当時を知る人は懐かしいでしょうし、知らない人でもこんな場所にこんな鉄道があったと言う知識を得ることが出来るかなと。

まぁ、今の撮り鉄からすれば、同じ被写体ばかりじゃねえかと文句を付けるかも知れませんけどね。

惜しむらくは、編集がイマイチで、路線が少し分かり難い、路線のタイトルに簡単な路線地図とかがあれば良かったのに、とか思ったり、写真とキャプションが完全に入れ違っている箇所があるので、よく読まないと「?」になってしまう部分が出て来てしまっている点でしょうか。

日本が高度経済成長に向かい、効率化の名の下、様々なものを捨て去っていく直前の残照のような時代を上手く切り取った作品では無いかなぁと思いました。

昭和37年3月 九州鉄道旅行写真帖 (未来へつなぐ日本の記憶)

昭和37年3月 九州鉄道旅行写真帖 (未来へつなぐ日本の記憶)

  • 出版社/メーカー: フォト・パブリッシング
  • 発売日: 2023/07/24
  • メディア: 大型本



nice!(10) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 10