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1960年代鉄道の記録 [読書]

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今日は先週ぶりの会社へ。
ゆっくり出来るかと思いきや、ちょっとした事故が発生した御陰で、その後始末に忙殺され、ちょっとした提案をしたばかりに、その対応をした挙げ句、事故が収束したので、結局その対策が不要となり…。
私の1日を返せ!
と言うか、人の忠告に耳を傾けない人達は何とかならんものか、と小一時間問い詰めたい。

トラブった挙げ句に責任を回避するのはどこぞの政治屋と似たような体質ではある。

さて、ここ最近読んでいた本。
『1960年代鉄道の記録』(辻坂昭浩著/山と渓谷社刊)
最近、発行者と販売者が異なる本が多いのは、発行者は費用をかけずに本を売りたい、販売者は費用をかけずにコンテンツを充実させたいという利害の一致があるからなのでしょうか。
これもそんな本の一つで、旅鉄ブックスと言う一連のシリーズ本として発行されたものです。

著者は学習院大学で鉄道研究会を主宰していた人で、普通の会社勤めを経て旅行会社の経営を行っていた人です。
そう言う意味では、昔取った杵柄として本を出したのかな、と。

しかし、著者が青春時代を過ごした1960年代は、まだまだ鉄道に未来があると見られていた時代で、新幹線を始めとする様々な車両が登場し、更に全国に特急網が張り巡らされていこうとしていた頃です。
本書では、国鉄を中心とした鉄道のドラスティックな技術的な変化と、大手私鉄の独自の発展、一方で、時代に取り残されつつある地方私鉄の衰退ぶりを写真で記録したものとなっています。

先ずは、新幹線以前の東海道線と言う事で、こだま号を中心とした電車特急の拡充、更には客車急行を置き換えた急行電車によるスピードアップの時代、そして、新幹線の建設と車両の開発について、写真で触れています。
とりわけ、開業前の試験線に学生が招待されて、高速走行を経験できるというのは貴重な記録です。
当時は未だ大らかな時代で、写真を撮影するのでも、例えば新橋の高架の線路脇で、鉄ちゃんが大勢カメラを構えても誰も咎めなかったりします。
今だったら、線路に降りたら、非常停止ボタンが押されて、たちどころに検挙されるでしょうが。

全国に拡がる気動車の拡充にも目をこらし、キハ80や81系による特急列車の増発、また急行や準急に気動車が採用されるなど、地方にもこうした鉄道近代化の恩恵が見える貴重な記録となっています。
この頃の鉄ちゃんの大多数は、もうすぐ消え失せるSLを中心に追っていたのに、逆にそれに背を向けたのが、凄い目の付け所だなぁ、と。

因みに、東北の某所で、キハ81系の同時出発をものにしたいと、鉄研の女の子をダシに、運転士にプレゼント作戦をして実現させたとか言う話もあったり無かったり。
今なら完全にコンプライアンスが~だと思いますが。

他にも、東西南北津々浦々、至る所に出没して、鉄道の写真をものにしています。
学生ですから、流石に殆どはモノクロ写真ですが、中には貴重なカラー写真もあったりして、それが新幹線とかメジャーどころでは無く、日常の通勤に使われる通勤電車や、急行電車などであるのも貴重だなぁと思ったり。

また、ローカル私鉄も、今は亡き…と言うか、ローカル私鉄で今生き延びているのは数えるほどしか無いのですが…数々の私鉄が写真として残っているのも素晴らしいと思います。
今は何気ない写真でも、何時かこんな貴重な記録がとなりかねない訳で、写真を撮影すると言う行為の重要性を気付かせてくれます。

それなりに薄くて、文章もそんなに多く無いので、ざっと読める本ですね。
惜しむらくは、判型の御陰で写真が小さくなってしまい、キャプションに書いてあるものが読み取れない部分がある事くらいでしょうか。
それを差し引いても、貴重な記録である事は間違いないと思います。


旅鉄BOOKS 021 1960年代鉄道の記録 特急「こだま」から新幹線へ

旅鉄BOOKS 021 1960年代鉄道の記録 特急「こだま」から新幹線へ

  • 作者: 辻阪 昭浩
  • 出版社/メーカー: 天夢人
  • 発売日: 2019/09/17
  • メディア: 単行本



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