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海難救助のプロフェッショナル 海上保安庁 特殊救難隊 [読書]

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何か、会社の勘違い野郎の御陰で余計な仕事が増えて困ります。
一体、何様でしょうかね。
人様の上前で生活しているのに…。
矢張り、唐様で「売家」と書く三代目ですわ(謎。
だから、ミンスとその系列は支持できないのです。

てな訳で、ここ最近読んでいた本について。

『海難救助のプロフェッショナル 海上保安庁 特殊救難隊』(「海上保安庁 特殊救難隊」編集委員会編/成山堂書店刊)

1975年、その前年のLPGタンカーと貨物船の衝突事故に際して、何の手出しも出来ず、自衛隊にその処理を委ねた海上保安庁が、その事件の反省を踏まえて作り上げた組織が「特殊救難隊」。
ただ、予算が潤沢な訳でも無く、他国のお手本がある訳でも無く、手探りの中、不十分な機材と僅か5名の隊員しかいない部署からのスタート。

今は羽田をベースに、玄界灘で漁船の転覆があれば出動して捜索活動に従事し、日本海でタンカーの座礁があれば油防護と乗員の救出に活躍し、太平洋で貨物船舶の火災があれば、出動して消火に当たったり、海岸に近付かないように措置をするなど数チームが八面六臂の活躍を繰り広げています。

常に第一線で活動する部隊である為、訓練は苛酷です。
訓練のシラバスが決まって行くと、先ず新人隊員は通常業務から切り離され、1年間基礎から潜水訓練、降下訓練などの訓練を徹底的にやらされます。
氷海で氷の下に潜ったり、滝から飛び降りたり、また、航空機やヘリコプター、海上保安船艇との連携も重要で、機会を見つけては、合同訓練をして意思の疎通を図ったりしているとか。
こうした訓練を重ねることにより、トラブルを未然に防ぎ、緊急事態発生時に冷静に対応出来るようになると言います。

とは言え、そこは生身の人間。
常にクールで何でも熟すと言うものでは無く、ヒヤリハットと隣り合わせで活動していたり、時には判断を誤って死の危険に繋がったりする事が有るそうです。
幸いにして、現時点での殉職者はいないらしいですが、そうなる可能性があった事例が多数この本には掲載されています。

この本は特殊救難隊の幹部から末端の現役隊員に至るまでの人々の証言集です。
黎明期の苦労、訓練での試行錯誤、実際の事故、事件、そして天災での出動時のエピソード、今の組織の課題、そしてこれからこの部隊を目指す若者のための指針などが細やかに書かれています。

特に訓練の試行錯誤についてのエピソードは人間的で、彼等も血の通った人間であることを認識させてくれます。
個人的には猛火を演出するために、海保外郭団体の訓練施設を借りて、タイヤを燃やした臨場感溢れる訓練をした後、年末の大掃除訓練を依頼されたとか、長瀞で潮流想定の潜水訓練を行う予定が、大雨の増水で訓練が中止になり、とは言え、折角訓練に来て勿体ないからと川下り訓練を行っていた際、漂流者と間違われて後で警察と消防から大目玉を食ったなんてエピソードが印象に残っています。

「海猿」が結構耳目を集めていますが、それよりも苛酷な状況で出動する特殊救難隊の活動は余り知られてはいません。
この本でその一端を覗き、少しでも理解が進むと良いな、と思います。



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