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日本のローカル航空 [読書]

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ここんとこ、景気が良いからか(うちの業界の景気は世間様の景気の約半年遅れ)、案件が次々に決まり、しかし仕事を回す人材はおらず、回せる人間に勢い仕事が押し付けられます。
御陰様で現在3件ほどの仕事が同時並行しているし、これに加えて3件くらいの他人がほっぽり出した仕事の尻拭いをしているので、1日ごとに異なることをせざるを得ません。
まぁ、コストセンターなので人材を回したくないのは分かるのですが…。

さて、今日も本の紹介。
『日本のローカル航空』(秋本俊二著/河出書房新社刊)
航空会社を損益分岐点に載せようと思ったら、保有機数は20機以上無いといけないそうです。
つまり、それだけの路線を維持しないといけない。
ANAとJALは流石にそれ以上に機体を保有していますし、第2勢力である航空会社の中でも、J-AIRやANA Wings、SKYMARK、LCCではPeachやJetstar Japanもそれくらいの数の機体を保有しています。
10数機しか無い会社でも、ANAと共同運航しているAirDoとかSolaseed、Starflyer、IBEXAirlinesなんかはそこそこ利益が出ていますし、JAL傘下のJTAの保有機も20機にかなり近付いています。

かと思えば、保有機1桁で路線を維持している航空会社も日本には多くあります。
この本ではそうした小さな小さな日本の航空会社を介して、その特徴、そこで使われている機材、それに就航路線やその就航地の紹介をしています。

これらの航空会社は何れも苦しい経営を強いられていますし、天草エアラインの様に保有機がATR-72の1機だけと言う航空会社もあります。
当然、1機だけでは整備になった時は運休となるのですが、最近はJAL系列のJACと提携して、その保有機であるATRを貸し出してもらい、それで路線を維持すると言う手で収入を維持しています。

保有機がDHC-8-200が2機しかないOriental Air Bridgeも同じで、ANA WingsのDHC-8-Q400を借りて、その塗装の儘、福岡と小松、宮崎を結ぶ亜幹線に就航し、収入を得ています。

保有機が3機しか無いのが北海道エアコミュータです。
こちらはSAAB340Bを使って道内の各路線及び三沢との路線を維持しています。
当然、3機しか無いので定期点検の際にはJACの同機種が応援に来るのですが、機材の老朽化に伴い、JACと同様にATR-72を導入する事になり、もうすぐその初号機がやって来ます。

首都圏には調布飛行場を起点に、伊豆諸島を結ぶ路線を持つ新中央航空があります。
こちらは10数人しか乗れないDo228を6機保有して、大島や三宅島、新島などの各島嶼を結んでいます。
こちらも徐々に新型のDo228NGに置き換えられつつありますね。

勿論、こうした小さな航空会社だけで無く、エアコミュータを銘打っている航空会社も紹介しています。
例えば、FDA何か最たるものです。
他にも、先述のANA WingsやJAC、J-Air、JTA、RAC、Air Do、IBEXも取り上げています。

この他、旅客輸送業務からつい最近撤退した第一航空や、鹿児島から薩摩硫黄島に飛ぶ不定期路線を持つ新日本航空、機材の紹介では、既に日本の空から消えてしまったYS-11やBN-2B、そしてまた引渡し延期で100機の受注が取消されたと言われているSpacejetも取り上げていて、結構総花的に書かれている本だなぁ、と思いましたね。

空港でも小さな空港は勿論ですが、仙台空港や静岡空港、長崎空港、鹿児島空港と言った比較的国内外の路線も充実している空港も取り上げられています。
この辺の基準がよく判らないのですが…。

まぁ、こうしたきめ細かいローカル航空の分野を取り上げた専門の本と言うのは余り無いので、ニッチな部類に入るのでは無いでしょうか。
勿論、路線の描写もあったりして、旅に行きたいと思わせる部分もありましたしね。

日本のローカル航空: 地方を結ぶエアコミューターの魅力のすべて

日本のローカル航空: 地方を結ぶエアコミューターの魅力のすべて

  • 作者: 秋本俊二
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/09/25
  • メディア: 単行本


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