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空飛ぶハコフグ [飛行機]

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2週連続で今週末も徹夜決定でゲンナリしています。
昼間、泊るホテルがあればそのまま滞在して夜から再び出掛けると言う手があるのですが、泊まりは御足が掛かるし、かと言って、行って帰ってでは結構時間が無駄になるしでちょっと痛し痒しです。

さて、昨日はTwin Otterの話を書きましたが、今日はShort S.C.7 Skybanについて書いてみる。
この機体も、日本では海上保安庁が用いていました。
高翼単葉で、文字通り矩形断面の胴体を持ち、後部にランプ兼用の貨物扉が付いていて、大抵のものをそのまま載せることが出来ます。
当然のことながら与圧は無く、低い高度をゆっくりと飛ぶ機体です。

この機体、こうしたゲテモノ形状なので、英国面が出たものかと思いきや、その構想自体はフランスが発祥です。
まぁ、大戦間のフランス機や戦後のフランス機も相当なゲテモノ揃いなものが出ていましたが、Maurice Hurelと言う人物の頭の中から飛び出した構想が始まり。

彼の構想では、長大な主翼を持つ機体であれば、空力特性は良くなり、長い主翼は大きな揚力を生み出し、小さな機体でも大きな輸送力を持てるのでは無いかと思った訳で。

そして、航空機産業への進出を目論んでいたLeon Duboisと言う人と組んで、Hurel-Dubois HD.10と言う高翼単葉双尾翼で単発のデモンストレーターHD.10を1948年に初飛行させました。

幸い、このデモンストレーターはフランス政府の興味を引く事に成功し、HurelはHD.10を発展させ、双発にして胴体なども大型化した機体を開発します。
この機体は、アスペクト比20:1と言うグライダー並みの長さを持つ主翼を高翼型式に装備しており、その主翼は支持柱で頑丈な足回りと直結されていました。
勿論、引込脚では無く頑丈一点張りの固定脚です。

1953年1月、ライト・サイクロンエンジンを装備したHD.31が完成し初飛行に成功すると、翌年にはP&Wツイン・ワスプエンジンを装備し、発展型のHD.32を2機製作します。
この機体からは単尾翼となりましたが、安定性が不足したのか、水平尾翼に安定板が追加されました。
これらはフランス空軍に採用されて、折しも民族自決の炎が急速に燃え上がっていたアルジェリア紛争に投入されました。
また、Air Franceでも試験採用されています。

HD.32シリーズは最終的に24機が生産され、海軍向けにHD.35が3機、エンジンを換装したHD.34が8機、更に1957年には国土地理院向けに機首を透明化し、レーダーや写真測量装置、赤外線スキャナー、磁気観測装置などを装備した特殊型のHD.34が1機引き渡されました。

因みに、特殊型のHD.34は1985年までフランス本土はもとより、アフリカの旧フランス植民地諸国、中東まで足を延ばして活躍していました。

これに目を付けたのが、英国のMiles社です。
当時、Milesは青息吐息でヒット商品を探していました。
そこに持ち込まれたのが、Hurelの企画。
1957年、Milesは、Hurel-Duboisと共同で、当時Hurel-Duboisが試作していたHDM105軽輸送機を発展させ、より量産向きに改造したHDM106 Caravanを生産する予定でした。

ところが、Miles社の破綻によりその共同開発は宙に浮き、1958年、ShortがMiles社の機体の製作権を譲受けた為、宙に浮いていたHDM106も日の目を見る事になりました。

この機体は、エレガントだったHD.34とは似ても似つかぬもので、矩形断面、と言うか殆ど四角い箱に矩形翼を半片持式に取り付けた機体で、重量1.5トン以下の貨物であればどんなものでも搭載可能、しかも床面は地上から僅か0.61mの高さなので容易に貨物の出し入れが行えるものです。

主翼はHurel-Duboisとは異なり、長大なアスペクト比は影を潜めましたが、それでも大分小さくなっています。
1963年に初飛行しましたが、実はこの試作第1号機はピストンエンジンを装備していました。
タービンエンジンを装備したのは2号機以後で、開発はかなり難航しましたが、STOL性能はそこそこなれど、実用性という意味ではかなり高く、その後はショート社の主力商品の1つに育っていき、最終的には更にストレッチされたShort360と言う機体を生み出す元になりました。
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