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ふしぎな県境 [読書]

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今日も朝からとある事務所が大規模停電したので、その復旧対応でドタバタ。
2系統ある電源が両方とも使えなくなったって、普通考えられない事が起きたような気がする。
こっちはこっちで、桂三度状態で、データが倍倍ゲームで増えていくトラブルが発生したし、データ伝送テストをやったり、計画書を作り上げたり、稟議書を作り上げたりとパラレルで仕事が進むので何が何やら判りません。
それで無くとも、元々のお脳はタンデム処理しか出来ないと言うのに。

さて、今日はここ最近読んでいた本について。

『ふしぎな県境 −歩ける、またげる、愉しめる−』(西村まさゆき著/中公新書)

中学、高校の家は、自転車を10分ほど漕げば、尼崎と西宮の市境に辿り着く場所で、爺様の家に泊りに行く時は、自転車で毎回通っていました。
そこを引っ越して、大学から就職直後住んでいた家は、家を出て50歩も行かないうちに神戸から芦屋に抜けると言うボーダー地域にありました。
就職して東京に2回目に行った時に住んでいた家は、5分ほど歩けば調布と三鷹の市境で、更に5分歩けば世田谷区に抜けることが出来る場所でした。
そして、今、住んでいる場所はほんの最近まで、5分歩けば川口と鳩ヶ谷の市境に到達してましたし、20分歩けば、再び川口の市境が現れる場所でした。

この本では、県境を取り上げていますが、ボーダー好きとしては、興味ある作品でした。
市境でも、舗装の質が異なるのはあるあるで、うちの場合でも、我が家のある旧鳩ヶ谷市は四角いカラーブロックを敷き詰める凝った舗装になっているのですが、川口の市境を超えた瞬間に普通のアスファルト舗装になっています。
県境でもそれは同様で、例えば冒頭に出て来る東京都練馬区と埼玉県新座市との間も、舗装の質が違ったり、片方は緑が多かったり、或いは商業地、工業地、住宅地など区分が異なったりしています。

この本では、単純な県境では無く、一癖も二癖もある県境を多く取り上げています。
ここ最近有名になった、3県が交わる県境で気軽に行く事が出来る埼玉と栃木と群馬の県境を筆頭に、13箇所の県境を取り上げ、それが生じた理由、現状、住民はどう思っているのか軽くインタビューしたり、と、新書版ながら、結構真面目に取り上げています。

そして、この中の白眉は、新潟と福島と山形の県境の訪問記です。
埼玉、栃木、群馬が簡単に行く事が出来る3県境のナンバーワンだとすれば、新潟と福島と山形の3県境は、一応人が行けるけれども、かなりの努力をしないと行く事が出来ないと言うもの。
山形と新潟の県境の間、僅か1mの幅で長さ8kmに渡って福島県が食い込んでいる場所で、それは、2,000m級の山々が続く山脈の中にあります。

何故、こんなに福島県が食い込んでいるのかと言うと、江戸期にこの辺りは会津領となっていて、会津の人々がその山上にある飯豊山神社までせっせと通っていた名残だそうです。
会津領は元々飯豊山を含む東蒲原郡まであったのに、維新政府は東蒲原郡を県庁から遠いと言う理由で、新潟県に割譲してしまいます。
しかし、東蒲原郡が飯豊山神社を郷社にしたいと願い出たところ、福島県側が猛反発、内務大臣にまで上申される騒ぎになり、実地検分を経た結果、福島側に理があると言う事で飯豊山神社の奥の院に至る細い参道を福島県に再編入したと言う歴史的な理由があったのです。
境界にも歴史有り、ですね。

とは言え、全くお堅い本では無く、軽妙な筆致で書かれているところも多いので(そうで無くても、県境を探訪するなんて正直暇人の極みではないかと思う訳ですが)、気楽に読むことも出来て、雑学の知識も得ることが出来たりします。

カラー版 - ふしぎな県境 - 歩ける、またげる、愉しめる (中公新書)
中央公論新社
西村 まさゆき

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