SSブログ

ディーゼル特急全史 [読書]

CES_A330-300_1041_0006.jpg

今日は流石に引き籠もってばかりはいられないので、リハビリへ。
まぁ、リハビリというかレントゲン撮って、血液検査して、状態を聞いて…。
首は小康状態ですが、腰が結構ヤバいらしい。
なので、リハビリを続けなさいと言う何時ものお説教でした。
かれこれ数十年ヘルニアと付き合っているので、毎回毎回耳にたこができるほど聞かされているわけですが。

その後はスーパーに寄って刺身やら何やら買って帰ります。
スーパーの刺身なんで、余り良いものでは無いのは判っていますが、久々に食べたかったから。
まぁ、満足しました。

さて、ここ最近寝室で読んでいた本の紹介。
『編成表・時刻表から見る優等列車史 国鉄・JRディーゼル特急全史』(寺本光照著/イカロス出版刊)。

2020年で、国鉄で最初に作られた特急気動車キハ80(81)系誕生から60周年だそうです。
それを機会に、最初のキハ80(81)から現在のJRのディーゼル特急の通史で、写真や文章もふんだんにあって、読み応えのある本でした。

1950年代後半から社会が高度経済成長へと推移する中で、国鉄は東海道線や山陽線向けには冷房付の快適な20系特急電車を開発します。
一方、東北線の要望も無碍には出来ず、東海道筋で用済みになった客車を利用した特急列車を走らせますが、当然、東京駅でこだま号と比較され、その格差を嘆く声が本社に寄せられるようになりました。

「せめて、色だけでもこだま的なものが欲しい」と言う声に応えるため、また折りから日本で開催されるアジア鉄道首脳懇談会に日本の技術力を誇示するため、当時の日本の技術力を総結集して作り上げたのが、こだまと同じ様なスタイルのキハ80(81)系です。

しかしながら、試作決定からお披露目までは僅か10ヶ月しか無く、大出力機関を錬成するのは無理と分かって、出力不足で戦前設計のDMH17を使わざるを得ず、ギリギリの余裕の無い設計は、初期故障を頻発させる悪循環を招きます。

一応、性能的には辛うじて及第点でしたが、このキハ80(81)系は少数生産に終わり、大量生産されたのは、更にブラッシュアップしたキハ80(82)系になります。
同じエンジンを搭載しながらも、安定性は増し、各地に特急網を張り巡らしていきました。

ただ、戦前設計の低出力機関というのは如何ともし難く、特に勾配の大きな中央西線の特急化には支障をきたす状態。
そこで大出力機関を開発して、それをキハ82系を改良したスタイルの車体に載せたのが、キハ181系です。
これは主に勾配線区に配置されて行きますが、同時に国鉄路線も電化が進み、折角就役しても、電化によって職場を追われ、別の非電化路線に都落ちして再度そこで急行を格上げした特急になると言う流れを繰返していきます。

国鉄末期には、北海道と東海地区にキハ80系が残り、特に各地で使われた車両の吹きだまりで、経年劣化の激しい北海道地区には独自の特急車としてキハ183系が開発されて投入されました。
一方、四国地区の経営改善から急行を更に格上げするため、キハ185系が開発されて投入されます。

こうして、JR移行を迎えますが、電化が進んでいたJR東日本は、一時期を除いてディーゼル特急が存在せず、JR東海はキハ82系を程なくキハ85系にスイッチ、JR西日本は三セクのディーゼル特急に任せて、耐用年数ギリギリまでキハ181系を引っ張ります。
JR化後、新たにJR西日本が開発したのは、キハ187系という廉価版の見本みたいな特急と言って良いのかどうかと言う代物です。

JR北海道はキハ183系から高速化に乗り出し、キハ281系、283系と進み、一頃は130km運転をしていましたが、事故が頻発して120km運転にトーンダウンし、車体傾斜装置も装着しなくなってしまいました。

JR四国も高速化として2000系を開発してキハ185系をJR九州に売却したりしていますが、その後、2600系では土讃線を走る際に、車体傾斜のための圧搾空気が足りないと言う問題が露呈し、再び2700系で振り子形式に戻すと言う迷走をしています。

JR九州は幹線は電車、支線はディーゼル特急という棲み分けを行いますが、車両を新製すること無くJR四国からのキハ185系やキハ40系、56系などの既存車の改造形式が殆どです。
こちらも、観光特急という着眼点は良いのですが、湯布院特急以外は迷走しているような感じです。

今後、地球温暖化の対策の絡みで、ディーゼル動車そのものがハイブリッド車に置き換えられていき、気動車という言葉が死語に成る様な感じがします。
現にJR東海のHC85系は電車扱いされているそうです。
日本独自に発展してきたこの分野もいずれは失われた技術になって行くのかも知れません。
そんな感慨を持ちながら、読んでいました。
nice!(0) 

nice! 0